助産師×プロボクサー!富樫直美さん【3】最終回|憧れナースに会ってきた!

前回まで

助産師とプロボクサーという二束のわらじを実現できたのは、同僚や旦那さんをはじめ、周りの協力があってこそ。「一生懸命にやってる人は応援したくなるものだから」という富樫さんは、WBC女子世界ライトフライ級チャンピオンとして7回もの防衛戦に勝ち続けてきました。

 


富樫直美さん NTT東日本関東病院 産婦人科

1975年生まれ。助産師11年目。NTT東日本関東病院に勤務するかたわら、女子プロボクサーとして活躍。2008年から2012年までWBC女子世界ライトフライ級チャンピオン。7回防衛。2012年9月、プロ引退。著書に『走れ!助産師ボクサー』(NTT出版)がある。


 

■プロである、ということ

体力的にもスケジュール的にもハードな生活の中、どちらも好きだから全力でやる。そう決めて走りきった今「失ったものもあるけど、でもボクシングやってよかった。完全燃焼した」と思えるのだそう。

 

その言葉に、浅井さんも感慨しきり。

 

「そう言えるのって、本当に素敵だと思います。だって自分で選んで、やりきって、納得してなかったら言えないですもんね。本気でやったからこそ、ボクシングが助産師の仕事に影響を与えた部分もあるのでは?」

 

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | 助産師×プロボクサー!富樫直美インタビュー最終回1

 

「あるとすれば、『プロ意識』ですね。

ボクシングでプロになってから考えたのは、『プロとは何か』ということ。プロって、自分のやったことにお金が発生しているという意識を持てる人のことだと思うんです。

 

看護師や助産師も、プロだったら、お金を払うに値するいい技術を提供しなくちゃいけない。そういう意識がある医療従事者って少ないと思うんですよね。でも医療現場にこそ、プロとしてのパフォーマンスをあげる、という意識は必要だと思います」

 

プロフェッショナルとしての仕事をする。その前提には、自分の仕事に対する誇りや、やり抜く強い意志があります。仕事に対してこれほどまっすぐに向き合えるのには、何か秘密があるのでしょうか・・・?

 

「仕事には向き不向きがありますから。それを見極められるかどうかが大切。

私は助産師には向いているけど、看護師には向いていなかったと思います。助産師になる前、看護師として最初に配属になった病棟でターミナルの患者さんをたくさん看ていたとき、向いてないなと何度も思いました。だから留学のあと助産師学校に入りなおしたんです。

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | 助産師×プロボクサー!富樫直美インタビュー最終回2

 

たしかに若かったし、もうちょっと頑張ったらわかることもたくさんあったのかもしれないけれど、今は自分の『見極め』は正しかったなと思っています。留学で考える時間をとって、自分を振り返れたのはよかったなと。

 

大事なのは、自分の柱がぶれていないかということ。言い訳していても本質は見えないから、自分にとってどうなのか、振り返る作業ができないと。それができないまま、いつまでも向いていないことを続けて『私なんて・・・』って思っていてもいいことないですよ」

 

常に自分と向き合い、合うかどうかを『見極める』作業を怠らない。それができてこそ、全力で仕事に向かえ、プロとしてのパフォーマンスがあげられる。うーん、シンプルだけど、ストイックな意識です。

 

 

■富樫直美じゃないとできないことがある

 そんな『プロ』の仕事をやりきって、2012年9月にボクサーを引退した富樫さん。

 

ボクサーとしての経験と、助産師として「生」「性」に関わってきた経験をどちらも活かしていきたいといいます。これからは『プロ』の助産師として、どこを目指すのでしょうか。

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | 助産師×プロボクサー!富樫直美インタビュー最終回

「妊婦さんだけじゃなくて、女性の一生をサポートできたらいいなと思っています。

 

そのために、ボクシングの経験を活かせると思っていて。たとえば、マタニティヨガにボクシングを取り入れたトレーニングをまずはやりたい。それから、ボクシングを仕事に置き換えて、仕事を頑張ってる女性に向けたメンタルトレーニングとか。

 

あとは、学生向けの性教育もやってみようと思っています。

性教育については、高齢出産のことも交えて語りたいなと。学生に対して、ただ若年妊娠の問題だけを言っても響かないと思うんです。

卵子は限られていて、子どもができるのはその限られた間の奇跡に近い確立なんだよっていうことも含めて、若いうちからちゃんと伝えておきたい。

 

意外と世の中の女性は『卵子が老化する』ということを知らないんですよね。40代50代になっても子どもは産めると思ってる。そこから教えなきゃなのかって、助産師やりながらびっくりしたので。

 

どれも初めてのチャレンジです。難しいと思います。だからこそ挑戦してみたいと思うんですよね。

 

ボクシングやめて暇でしょ、って言われるけど、こんなにやりたいことがあるから、全然暇じゃないです!(笑)

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | 助産師×プロボクサー!富樫直美インタビュー最終回3

『富樫直美じゃないとできないことだよ』と言っていただけることも多くて、そういわれるたびに『私こんなこともできるんだ』って嬉しくなるんです。それをひとつずつ実現していきたいです。常に上を目指すというか、そういうプロ意識はずっと持っていますから」

 

自分と向き合うことから逃げない。シンプルだけど、続けるのは難しいことです。だからこそ、それをやりきった富樫さんの笑顔はキラキラ輝いているんですね。

 

浅井さんも、ご自身の次のステップへの刺激になったよう。

「本当にかっこいい女性!私自身、看護師としていろんなことを吸収したいと思っていて、留学とか大学院に行くとかやりたいことはたくさんあるんです。その中で、これからどんな『プロ』になりたいか・・・考えてみようと思います。」

 

これからも、さらにかっこいい女性・かっこいい助産師として走り続けていく富樫さん。次はどんな『プロ』の姿を見せてくれるのか、楽しみです!

 

【看護roo!編集部】

 

【富樫さんの輝きのヒケツ!Q&A】

 

Q.大事にしている言葉は?

「今を生きる」。サインにも書いています。ライオンキングが大好きなので、ライオンの挿絵と一緒に。

 

Q.助産師として一番好きな瞬間は?

やっぱりお産をとるとき!最近久しぶりにお産とったら本当に楽しくて。そういう楽しいドキドキがモチベーションになりますね。

 


【助産師×ボクサー!富樫直美さんインタビュー】

Vol.1 代名詞は『戦う助産師』

Vol.2 助産師とボクサー、両立のヒケツとは?

Vol.3 プロフェッショナルとして、富樫直美として


 

【憧れナースに会ってきた!他の記事】

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