【2024年版】看護師の平均年収いくら?手取り、ボーナスなど給料まるごと解説
看護師は「年収が高い」というイメージを持たれがちですが、実際の年収・給料はどのくらいなのでしょうか?
看護師の平均年収や手取り額、ボーナスのほか、年齢や地域(都道府県)によってどのくらい年収に違いがあるのかなど、「看護師の給料」をまるごと解説します。
※令和5年賃金構造基本統計調査は「2023年6月分の給与と2022年支給分のボーナス」を調査対象としています。用語・各数値の詳細は文末に記載。
もくじ
1.看護師の平均年収は508万円
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は508万1700円(平均年齢41.9歳)となっています。
ここから税金や社会保険料が引かれた、看護師の「手取り年収」は平均380万~405万円となります。
ただし、これは年間のボーナスや各種手当(夜勤手当、残業代、通勤手当など)も含んだ総額であるという点に注意です。
2.看護師の年収・給料の内訳
看護師の年収・給料の内訳は、
- 基本給
- 夜勤手当
- 残業代(時間外手当)
- ボーナス
ーの4つが主なものです。
このほかに通勤手当や家族手当、住宅手当などのその他手当が付くのが一般的です。主な4つの内訳について、それぞれ見ていきましょう。
看護師の基本給
基本給とは手当などを含まないベースとなる賃金のことです。残業代(時間外手当)の割増額の計算やボーナスの計算の際にも使われます。
日本看護協会の調査によると、新卒の基本給は約20万~21万円で、10年目(非管理職)の看護師の基本給は約24.8万円となっています。
施設や役職の有無などによっても変わりますが、看護師の基本給は約20万~21万円からスタートし、年4000~5000円ずつ昇給、10年目で25万円前後となるのが平均的です。
看護師の夜勤手当
看護師の年収・給料には「夜勤手当」がかなりのウェイトを占めています。
日本看護協会の調査から、夜勤手当の平均額をまとめました。
看護師の夜勤手当額と夜勤回数(平均)
2交代 | 3交代 | ||
---|---|---|---|
準夜勤 | 深夜勤 | ||
平均手当額 | 11,368円 | 4,234円 | 5,199円 |
平均回数 | 4.9回 | 7.5回 | |
平均手当額×回数 | 55,703円 | 35,374円 |
上のデータを見ると「看護師は毎月の給料のうち、平均3.5万~5.5万円を夜勤で稼いでいる」と言えるでしょう。
つまり平均年収508万円のうち、40万~65万円は夜勤手当分という計算になります。
まさに「負担の大きい夜勤をこなしてこその高い給料」という実態がうかがえます。
看護師の残業代
看護師の場合、残業代が収入に占める割合はあまり多くありません。
看護師の1カ月あたりの残業時間は、厚労省の調査では平均6時間、日本看護協会の調査では平均5.2時間となっています。
このデータや基本給などを基に残業代(時間外手当)を計算すると、およそ月1万~1.2万円。年間では12万~14万円ほどとなります。
看護師のボーナス
※ボーナスは年間の支給額です。
厚労省の調査によると、看護師の年間ボーナス額は平均85万6500円となっています。
看護師のボーナスは年間約40万円からスタートし、40代~50代で約100万円に達するのが例年の傾向となっています。
新人看護師が初めてもらう「入職直後の夏のボーナス」は5万~10万円ほどか、もらえない場合が多いでしょう。
ボーナスは「一定期間の実績に対する評価(査定)」として支給されるもの。そのため、まだ実績のない新人看護師の夏のボーナスは寸志程度で、残念ながらあまり期待できません。
3.新卒看護師の初任給
日本看護協会の調査によると、新卒看護師の初任給(基本給その他を含む総額)は約26万~27万円となっています。
初任給の手取りは21万~22万円となります。
専門卒
- 初任給:26万6558円(うち基本給:20万4950円)
大学卒
- 初任給:27万4752円(うち基本給:21万963円)
ただし、職場によっては4月は給料が満額支給されないことがあります。夜勤手当が含まれていなかったり、締め日が10日、15日であったりするからです。
4.年代・施設規模・都道府県・男女別の違いは?
看護師の年収は、年代、働く施設の規模、都道府県、男女別などで、どう違うのでしょうか。
【年代別】看護師の年収は50代後半でピークに
看護師の年収が年齢によってどのくらいアップしていくのか、以下の図にまとめました。
※月収=夜勤手当や時間外手当、通勤手当、家族手当等の各種手当を含んだ額面の金額
看護師の平均年収は20代前半の約400万円からスタートして、50代後半の約590万円でピークとなっています。
年齢を重ねるごとに金額はアップするものの、子育てなどで働き方に制限が出やすい20代後半から30代では、あまり伸びは見られません。
【規模別】施設規模が大きいほど年収は高め
施設の規模ごとに、看護師の平均年収を見てみましょう。
職場の規模別 看護師の平均年収
- 職員1000人以上
557万1200円(平均年齢37.7歳)
- 職員100~999人
486万4000円(平均年齢43.6歳)
- 職員10~99人
452万6900円(平均年齢47.1歳)
一般的な企業と同じく、「規模が大きいほど年収が高く、平均年齢は若くなる」という特徴が見られます。
規模の大きな職場の年収が高いのは、規模が大きいほど残業が多く、残業代が多くなることも影響しているかもしれません。
規模の大きい職場の場合、突発的な緊急入院や急変対応などが多くなり、時間外労働が増える傾向があるからです。
実際に日本看護協会の調査では、月平均の時間外労働時間は、99床以下の職場(4.2時間)よりも、500床以上の職場(8.7時間)の方が約4.5時間多くなっています。
【都道府県別】地域による差は約152万円
看護師の年収に地域差はどのくらいあるのでしょうか。厚労省のデータを都道府県別に集計しました。
厚労省の調査によると、最も年収が高かったのは大阪の568万900円。次いで神奈川(545万6000円)、静岡(545万1300円)の順となっています。17都府県が全国平均を上回りました。
一方、平均年収が最も低かったのは宮崎(416万2900円)で、熊本(418万5300円)、大分(433万2500円)が続きました。
最も高い大阪と最も低い宮崎では、約152万円の差があります。
都道府県ランキングは調査年によって順位が変動するので注意が必要ですが、首都圏や大阪、愛知などの都市部は平均より高く、九州、四国地方は平均より低いのは例年の傾向です。
【男女別】男性看護師のほうがやや高め
男性看護師と女性看護師の平均年収・給料は、それぞれ次の通りです。
男性看護師(平均年齢38.8歳)
平均年収 525万7000円
- 平均月収:36万5100円
- 平均ボーナス(年間):87万5800円
女性看護師(平均年齢42.2歳)
平均年収 506万1400円
- 平均月収:35万600円
- 平均ボーナス(年間):85万4200円
看護師の年収を男女別で比べると、男性看護師のほうが19.6万円ほど高くなっています。
女性看護師は子育てなどで働き方に制限がある人が少なくないこと、男性看護師の場合、勤務先が大きい病院であることが多かったり、家族手当が多く付いたりすることなどが影響しているとみられます。
5.助産師・保健師・准看護師の平均年収
看護師と同じ看護職である「助産師」「保健師」「准看護師」の平均年収・給料は次の通りです。
6.看護師の年収は本当に高いの?
ここからは、看護師とほかの職種の平均年収などを比べてみます。 「看護師は年収が高い」というイメージは本当なのでしょうか?
看護師の年収を全職種と比較すると……?
看護師の平均年収をほかの全職種と比べてみた場合、ここ4年ほど、看護師の平均年収が全職種の平均年収をやや上回る状況が続いています。
ですが、2019年以前は、全職種の平均年収よりも看護師の平均年収は低い時期が続いていました。
全職種のデータでは2020年以降、超過勤務手当(時間外手当・深夜勤務手当など)やボーナスの減少が見られます。新型コロナによる年収・給料への影響が、看護師よりも一般の職種で大きいことがうかがえます。
看護師の年収は「20代は高い」「女性では高い」
看護師と全職種の平均年収を、さらに年代別に見てみます。
いわゆる新社会人世代に当たる「20~24歳」を見ると、全職種平均が335万円(女性平均は318万円)なのに対して、看護師は402万円で、頭ひとつ飛び出しています。
ただ、その後は女性平均と同じように年収が伸び悩み、30代後半になると全職種平均と逆転しています。
看護師の年収は「20代のうちは高い」と言えますが、働き盛りである30代以降で比べれば、特別に高いわけではないことがわかります。
ただし、女性の職業の中では、やはり年収の高い職業であることは間違いないでしょう。
【職種別】年収ランキング 看護師は26位
さまざまな職業の中で、看護師の年収はどのくらいなのでしょうか。
厚労省の調査によると、女性の職業(143職種)の中で看護師は26位でした。
ランキング上位の職種には、医師や大学教授、法務従事者(裁判官、弁護士など)、教員など「高給」のイメージが強い職業が並びます。この中に助産師と看護師が食い込んでおり、資格の強さが感じられる結果です。
ただ、例年であれば30位前後にランクインする保健師は、今回調査では48位(446.3万円、平均年齢38.8歳)と順位を下げました。
このほか、准看護師は64位(403.3万円、平均年齢51.7歳)、看護助手は118位(317.1万円、平均年齢48.3歳)となっています。
【医療・福祉業界】看護師は5位
さらに、医療・福祉業界の職種に絞ってみると、看護師は5位となりました。
7.看護師の生涯年収は2億1957万円
最後に、看護師の生涯年収を試算してみました。
22歳から65歳の定年を迎えるまで働き続けたとしたら、看護師は一生で2億1957万円を稼ぐことになります。
資格職であり、慢性的な人手不足が続く看護師は、「いつでも働き口がある」「一生働ける」という安定感が強み。
看護師として働き続ければ2億円超の生涯年収が見込め、女性の中ではかなりの高収入と言えます。
その一方で、命を預かる責任と負担の大きい仕事でもあり、ハードワークで体を壊さないように注意も必要です。
8.まとめ
看護師の平均年収は、確かに高い部類に入るものの、夜勤手当の占める割合が高かったり、給料アップがしにくかったりと、一概に「高収入な職業だ」とは言い切れません。
ナースのリアルな給料明細が見られる『ナースなワタシのお給料』でも、こんなコメントが寄せられています。
看護師は人手不足が続いており、新型コロナをきっかけに、国による看護師の給料アップ対策がスタートしましたが、対象者は一部に限られ、看護師全員が待遇改善を実感できているわけではないようです。
看護師が魅力的な職業であるように、待遇・労働環境の改善へ期待が高まります。
【看護roo!編集部】
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【注】
・平均年収等のデータは各年の賃金構造基本統計調査より引用、算出しました。他統計の数値とは必ずしも一致しません。
・平均年収=「きまって支給する現金給与額」×12+「賞与その他特別給与額」。
・月収=「きまって支給する現金給与額」。各種手当を含み、所得税や社会保険料などが控除される前の額面の給与額。
・残業代(時間外手当)=1時間あたりの賃金額(基本給25万円÷1カ月の所定労働時間158時間)× 残業時間5.4~6時間 × 割増賃金率(125%)
・生涯年収=「20~24歳の平均年収」×3+「25~64歳の平均年収の総和」×5。
・この記事は2024年8月16日に更新しました(前回更新:2024年4月18日/初出:2012年10月14日)。
(参考)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)
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