“調剤”が看護師の業務に含まれる?日医総研が見解、薬剤師会は反発

医総研はこのほど、医師の指示の下で看護師が行う診療補助行為に「調剤」行為(薬の調合)が含まれるとの見解をまとめました。

これに対して日本薬剤師会は、薬剤師以外による調剤は禁止されていると主張しています。

 

果たして“調剤”は看護師の業務に含まれるのでしょうか?

 

 

日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は「診療補助行為に関する法的整理」をテーマにしたワーキングペーパー(WP)を発表しました。

 

WPではこれまでの判例や厚生労働省による法解釈などを紹介しています。その中で厚労省の解釈として、

医業(医行為)とは

1)診断

2)投薬

3)生理学的検査(心電図検査、超音波検査等)

が含まれる。

とあることを示し、「投薬が医行為に含まれる上、当然の前提として医師による調剤が含まれる」としています。

 

 

看護師はすべての「診療補助行為」が可能

その上で、放射線技師や理学療法士臨床検査技師、救急救命士など9職種においては、それぞれの専門領域内で診療補助行為ができるのに対し、「看護師と准看護師については、すべての診療の補助行為ができる」との厚労省の解釈を引用。

 

医師の指示の下で看護師が調剤を行うことは、「診療補助行為」に含まれるとの見解を示しました。

 

ただし、医師による調剤が認められるのは、医師自身が診察した患者に投薬するケースのみ。診察する患者以外の不特定多数に投薬するための調剤は、認められないとしています。

 

 

大手薬局での無資格調剤事件、厚労省の通知は「薬局が対象」

ちなみに昨年、大手薬局チェーンで、薬剤師資格を持たない事務員が調剤をしていたことが発覚し、大きな問題となりました。

 

この事件を受けて厚労省は、「少なくとも軟膏剤、水剤、散剤などを薬剤師以外が調剤することは、薬剤師による確認があったとしても違法」との通知を出しています。

 

WPではこれについても触れていますが、「あくまで薬局における調剤を射程としたもの」として、診療所などで看護師が医師の代わりに調剤することは問題ないとの考えを示しました。

 

 

医師による調剤は原則禁止、薬剤師会が反発へ

これに対して日本薬剤師会は、薬剤師法第19条に「薬剤師でないものは調剤してはならない」とある規定をもとに、「医師などによる調剤は禁止されている」と主張しています。

 

ただし、患者が医師による投薬を希望した場合は例外ということです。また「調剤行為のすべてが診療補助行為ではない」との考えも示しました。

 

医薬分業が進み、病院外の薬局で薬を受けとる患者が7割を占める昨今。なぜ今、日医総研が看護師による調剤が可能との見解をまとめたのかは不明です。

 

でも、現場の看護師からは「何でもかんでも看護師に押し付けるのは勘弁して!」と悲鳴が聞こえてきそうです。

 

【ライター:横井かずえ】

(参考)

診療補助行為に関する法的整理(日医総研WP)

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