外国人留学生を看護師に―受け入れの実情とは

別府の短大で中国人留学生受け入れ 人手不足解消へ期待

中国・上海の学生が看護技術を学ぶため別府溝部学園短期大学に短期留学することになり、開講式が行われました。

 

中国の学生5人が参加し、日本との交流や技術取得への意気込みを話しました。

受け入れは2週間の予定で、短大の授業や現場体験を通じ日本の医療や技術を学びます。

 

短大側は留学の受け入れを進めることで医療現場の人手不足解消につなげていきたいそうです。

 

医療現場では外国人労働者への懸念も

外国人労働者が飲食店を中心に日本でも増えているのはご存知の通り。

厚労省に届け出のあった在日外国人労働者数は昨年10月時点で約79万人(前年比10%増)にものぼります。

 

医療現場も例外ではなく、日本政府は途上国の医療発展貢献の目的も含め、2008年、外国から介護士・看護師の受け入れを始めました。

 

政府間で結ぶ経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシア、フィリピン、ベトナムからこれまでに約3100人が入国しました。

 

しかし、きめ細かい連携やケアが必要とされる医療の現場で、言葉や文化の違う外国人を受け入れられるのでしょうか。

 

当初、一緒に作業することになる看護師・看護学生らからは「言葉が伝わらないのでは」「文化が違うのでお互い苦労するのでは」といった不安の声が多く上がっていました。

 

外国人留学生ナースの評価は賛否両論

しかし、受け入れが始まると、実際にはいろいろな意見が交わされることとなりました。

 

フィリピン人留学生を受け入れたある病院のレポートには、勉強熱心な様子を周囲の看護師が評価したり、「患者から丁寧・やさしいと評判だった」という好意的な意見が多く寄せられていました。

 

一方、「難しい医療用語がわからない」「患者の方言を理解できない」といった言葉の壁についての言及もありました。

 

また、別の受け入れ病院も留学生の頑張りは評価しつつ、言葉の問題のため国家試験合格後も日本人の新人看護師とは別の指導が必要であるとして、負担増を示唆しています。

 

看護師仲間として働いていく上で、言葉の問題は病院一丸となって改善していかなければならない点になりそうです。

 

留学生の看護師国家試験合格率は7.3%、狭き門

外国人看護師受け入れにさらに待ったをかけているのは、看護師国家試験合格率の低さです。

 

2015年の合格率は7.3%(前年は10.8%)で、日本人を含めた全体の合格率が90%だったことからみても極端に低いといえます。

 

難しい漢字や言い回しによる筆記試験はかなりの語学力を要するため、技術力はあっても合格できないという人が多いのが実態だそうです。

 

求められる周囲のサポート 世界の医療発展に向け

外国人看護師の存在については上記のように意見が分かれているのが現状です。

 

しかし、相当な覚悟で母国を立ち、慣れない日本で奮闘する彼らに日本人看護師・看護学生が良い刺激を受けているのも事実です。

 

一緒に学び、働く立場になった際、語学や文化の違いについて日本人が留学生をサポートしていくことは、結果的にお互いの国の医療発展につながることでしょう。

 

(参考)

別府市の短期大学で中国人留学生が看護学ぶ (OBS大分放送ニュース)

インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて (厚生労働省)

 

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