親元に帰れない子どもを育てる「母」になる―乳児院看護師の役割

乳児院看護師の仕事【2】

乳児院看護師の役割は「看護」だけではない

 

乳児院は「家庭」であり、看護師もその一員

乳児院で生活を送っている乳幼児にとって、乳児院は家庭であり、そこで働き関わるスタッフは皆親代わりという認識になります。

乳児院では、看護師のみならず保育士や医師、管理栄養士などの他職種がチームとなり連携を取りながら、乳児院で生活する乳幼児を育てています。

 

親元に帰れない子どもを育てる「母」になる―乳児院看護師の役割

 

家庭にある「母」の姿が乳児院看護師の役割

乳児院で働く看護師は、ただ単に「看護」を行うだけではなく、子どもたちに愛情をかけ、身体的・精神的に総合した健康管理を行う、まさに「母」になることが必要です。

 

乳児院で働く看護師に任される業務は、乳幼児の総合的な健康管理です。

 

乳児院で生活を送っている乳幼児は、0歳から2歳前までという幼い年齢の子どもです。

この年齢の子どもは、気温の差や天候、環境の変化などのちょっとした要因で体調を崩してしまうなど、身体に大きな影響があらわれます。

 

一般的な家庭であれば、母親や父親がそのようなちょっとした体調の異変などに気付き、医療機関の受診をしたり体調管理などを行ったりなど、「子どもを守る」役割を担っています。

 

乳児院で生活を送っている子どもにとっては、親と同じ立場になるのが看護師です。

 

子どもにとって必要な、人を信頼していくための心の基盤となる「愛情・愛着」の感情を育てる役割

 

もちろん、保育士なども子どもと普段から密に関わり親代わりになるのですが、医療面でのかかわりを持つ看護師が、より強くその役割を担います。

 

具体的な看護師の業務としては、体調面の観察・管理、適切な応急処置・ケア、医療機関や医師などと連携を取り判断していくことを主導します。

 

保育園看護師との大きな違いは「守り育てる」役割

業務内容としては保育園の看護師と似ていますが、大きく違うのは、その場が家庭であるかないか、育てる役割を担うのか担わないのかというところです。

 

保育園は家庭がある上での保育園生活なので、子どもにとっては一時的な生活の時間です。

その中で看護師は保育業務や看護業務を行い、子どもが安全にその時間を過ごせるように役割を発揮します。

 

一方、乳児院はその場が家庭であり、子どもにとっては生活の全てになります。

愛情を受け、愛着を覚え、安心して生きていくための場所です。

 

だからこそ、看護師は看護業務としてのケアを行うだけではなく、心のケアも含め「身体も心も育てる」意識を持ちます。

 

乳児院看護師は、高い医療の知識やスキルだけではなく、子どもにとって必要な、人を信頼していくための心の基盤となる「愛情・愛着」の感情を育てる役割も求められています。

 

また、乳児院では24時間の交代制勤務であることも保育園との大きな違いの一つです。

 

保育園看護師と共通するのは子どもとの「信頼関係」を築くこと

上記のように、保育園看護師との大きな違いはありますが、もちろん共通点もあります。

 

それは、子どもと日頃から密に関わり寄り添うことでしっかりとした「信頼関係」を築いていくということです。

保育園看護師・乳児院看護師どちらも、子どもとの信頼関係を構築することが最も重要であり、仕事の第一歩です。

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