最終更新日 2017/09/12

CO2ナルコーシス

CO2ナルコーシスとは・・・

CO2ナルコーシス(しーおーつーなるこーしす)とは、呼吸の自動調整能が破綻し、二酸化炭素(CO2)が体内に貯留することで意識障害が出現する病態の総称である。一般的には、慢性的に低酸素状態にある慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に高濃度酸素を投与することで、体内に酸素が過剰と判断され呼吸抑制もしくは停止する。肺胞低換気となり、二酸化炭素の体内貯留によりアシドーシスや意識障害を呈する。バックバルブ換気や気管挿管下呼吸器による換気などで強制的に換気を行い、体内から二酸化炭素を出すことで症状改善の期待ができる。

 

CO2ナルコーシスは狭義には呼吸の自動能の破綻によりCO2が貯留する病態であるが、広義には原因を問わずCO2が貯留する病態を含めることがある。これらには、過鎮静による呼吸抑制、中枢神経疾患や神経変性症などによる呼吸抑制などがある。

 

呼吸の調整

呼吸は動脈血液中のPO2、PCO2、pHの変化を頸動脈小体、大動脈小体で感知しながら自動的に調整を行っている。ここで感知された情報は求心性神経(末梢から中枢にシグナルを伝達する神経)で呼吸中枢に伝達される。例えばPO2の低下、PCO2の上昇、pHの低下があれば換気量を増大させ、逆であれば抑制をすることで常に一定の状態を保つことができる。また、呼吸中枢の近くの延髄化学受容器では、脊髄液や脳組織中のpHを感知し、その情報を呼吸中枢に伝達している。

 

慢性閉塞性肺疾患:Chronic obstructive pulmonary disease(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性的に肺胞や気道の炎症が緩徐に進行する疾患の総称である。

執筆: 守田誠司

東海大学医学部付属病院 外科学系救命救急医学講座教授

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