バレー徴候とは・・・
バレー徴候(ばれーちょうこう、Barré sign)とは、日本で上肢拳上試験として用いられる手足の軽い麻痺(錐体路障害)を見出す検査の際に、麻痺を起こした上下肢に認める症状のことである。本検査はバレー試験と呼ばれ、脳梗塞、脳出血、その他の錐体路障害を来す疾患を調べる目的で行われる。
バレー試験
バレー試験では上肢、下肢の検査を行う。
上肢のバレー試験
上肢の試験は、手のひらを上にして両腕を前方に肩の高さまで水平に上げる。目を閉じてもらい両腕をそのままの位置に保ってもらう。麻痺がある場合、麻痺側の小指が離れ(第5指徴候)、上肢が回内(手のひらが内側に曲がりながら回る)しながら、次第に下に落ちてくる。上肢の錐体路障害では回外筋よりも回内筋の緊張が強くなり、伸筋よりも屈曲筋の緊張が強くなるため、このような徴候となる。
下肢のバレー試験
ベッドにうつ伏せになってもらい、両膝関節が接しないように直角に曲げ、保持してもらう。麻痺側の下肢は自然に下降、落下したり、いったん落下して元に戻ったりするなどの症状を来す。下肢の錐体路障害では伸筋の緊張が屈筋の緊張よりも強くなるために、このような症状が出現する。
より簡便な下肢麻痺の診察方法として、Mingazzini(ミンガズィーニ)試験が有用であり、この試験を用いることも多い。仰向けで股関節を90度くらい屈曲し、膝を接しないように離し、下腿をベッドと水平にし、空中に保持させる。麻痺側の足は自然と下降する。