最終更新日 2018/05/14

心房性期外収縮

心房性期外収縮とは・・・

心房性期外収縮(しんぼうせいきがいしゅうしゅく/PAC/premature atrial contraction)とは、心房での異所性興奮が本来の洞結節からの電気的興奮よりも早いタイミングで出現する不整脈である。上室性期外収縮のうち心房から異所性興奮が出現するものが心房性期外収縮で、房室接合部から異所性興奮が出現するものを房室接合部期外収縮という。

 

心電図の特徴は、本来出るべき洞結節からのP波(洞調律P波)の位置よりも早く出現するP波があり、洞調律P波とは形が異なる。心房性期外収縮からのQRS波は、一般的に洞調律からのQRS波と同じ形となる。

 

図1心房性期外収縮

 

QRS波が現れないものを非伝導性心房性期外収縮(blocked PACまたはnon-conducted PAC)といい、心房からの興奮が心室不応期(興奮が伝わらない時間)に伝導されるためである。

 

図2非伝導性心房性期外収縮

 

幅広いQRS波が現れるものは、心室内変行伝導を伴った心房性期外収縮(aberrant conduction PAC)といい、心房からの興奮が右脚か左脚の不応期に伝導される。通常は右脚の方が左脚よりも不応期が長く右脚ブロック型のQRS波になることが多い。一見すると心室性期外収縮に似ているが、QRS波の前にP波があることで鑑別できる。

 

図3心室内変行伝導を伴った心房性期外収縮

 

通常はほとんど自覚症状がなく良性である。検診などでの心電図で発見されることが多い。日常生活では、ストレス・睡眠不足・脱水・カフェインやアルコールの過剰摂取などで見られることもある。通常、出現頻度が少なければ問題ないが、頻度が多い場合は虚血性心疾患甲状腺機能亢進症・僧帽弁疾患・肺疾患などの鑑別が必要となる。また、上室性期外収縮の頻発で心房細動に移行することがある。

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