最終更新日 2024/09/26

酸素濃度

酸素濃度とは・・・

酸素濃度(さんそのうど、oxygen concentration)とは、空気等の気体中に酸素が何%含まれているかを示すものである。医療現場においては、酸素投与が必要な患者において吸入させている気体の酸素濃度のことを指す。

 

酸素濃度と血中酸素飽和度

酸素濃度とよく間違えられるものに、サチュレーションモニターで示される血中の酸素量がある。サチュレーションモニターは、血中の酸素濃度ではなく、血中酸素飽和度(SpO2)を示している。

 

通常、肺から取り込んでいる大気(空気)の酸素濃度は21%であり、この酸素濃度で健常人のSpO2は96~99%で保持されている。しかし、肺疾患や心疾患がある場合などでは21%の酸素濃度では適切なSpO2が維持されず、低酸素血症(一般的にSpO290%以下)になるため、より濃度の高い酸素が必要となる。

 

また、低酸素血症に至ってはいないが、病態によっては吸い込む酸素濃度を上げた方がよいとされる病態がいくつかあり、それらの場合にも酸素投与を行う。

 

酸素投与方法の種類

酸素投与の方法については、低流量投与、高流量投与、そして人工呼吸器での酸素投与がある。

 

低流量酸素投与

低流量酸素投与では、吸入する酸素濃度の上昇が軽度なので、軽症例に選択される。
通常、鼻カニューレで2~4L/min程度投与される。

 

高流量酸素投与

高流量酸素投与は、吸入する酸素濃度を十分上げられるため、より重症例に選択される。 通常、マスクやリザーバー付マスクで6~10L/min程度投与される。

 

酸素投与(特に高流量)ではCO2ナルコーシスの発生に注意する必要があり、正確な吸入酸素濃度の管理が必要な場合は、ベンチュリーマスクが用いられる。

 

また、高流量鼻カニューレ酸素療法(HFNC)という、20~30L/min以上もの高流量で酸素を投与する療法もある。

 

非侵襲的陽圧換気(NPPV)や人工呼吸器を使用した酸素投与

最重症例では、非侵襲的陽圧換気(NPPV)や通常の人工呼吸器使用を使用した酸素投与が行われる。

酸素濃度を上げると低酸素血症は改善されるが、低換気(一回換気量や分時換気量が低下して血中二酸化炭素が溜まってしまう状態)は改善されないので、その場合にも非侵襲的陽圧換気(NPPV)や人工呼吸器による陽圧換気が選択される。

 

引用参考文献

1)日本呼吸ケア・リハビリテーション学会ほか編, 酸素療法マニュアル.メディカルレビュー社,2017,p144.

執筆: 浅香葉子

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター副医長

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