りんご病とは・・・
りんご病(りんごびょう)とは、ヒトパルボウイルスB19を病原体とした、小児期に起こる伝染性の発疹性疾患であり、正式名称は伝染性紅斑(でんせんせいこうはん、erythema infectiosum)である。
予後は良好で自然治癒する。感染すると顔がりんごのように赤くなるため、国内では通称「りんご病」と呼ばれている。
原因
りんご病の原因は、飛沫感染または接触感染による感染である。
症状
集団生活を送る園児や小学生に好発し、性差はない。感染後、紅斑出現までの潜伏期間は、10~20日程度である。
ヒトパルボウイルスB19に感染すると、7~10日後にウイルス血症を起こし、微熱などの前駆症状が見られることが多い1)。その後、顔面に蝶形紅斑または平手打ち様紅斑が出現し、体幹や四肢にも紅色のレース網状皮疹が広がる。発疹は軽度の掻痒感を伴うことがあり、5~7日で自然消退する2)。
ウイルス血症を起こすと、次いでB19に対する抗体が作られ、ウイルスが次第に減少する。そのため感染力が最も強いのは紅斑出現時期ではなく、その約1週間前のウイルス血症の時期である。学校保健上において問題になることがあるが、伝染性紅斑の出現した園児、学童を出席停止させることは無意味である。日本学校保健会の「学校感染症と出席停止の基準」によると、「発疹(りんご病)のみで全身状態が良ければ登校可能」とされている3)。
治療
抗ウイルス薬は現時点で開発されておらず、通常は対症療法のみで自然軽快する。
予防
予防には、手指衛生やマスクの着用が有効とされている。予防接種はない。
妊婦が感染すると胎児貧血、胎児水腫、流産の原因となることがある(胎内感染)ため、注意が必要である4)。
引用参考文献
1)“伝染性紅斑とは”.NIID 国立感染症研究所.
2)“Q12 伝染性紅斑はどのような症状ですか?”.日本皮膚科学会.
3)“学校感染症と出席停止の基準”.公益財団法人 日本学校保健会.
4)“伝染性紅斑 Erythema infectiosum”.東京都感染情報センター.