最終更新日 2018/03/06

気分障害

気分障害とは・・・

気分障害(きぶんしょうがい、mood disorder)とは、双極性障害(躁うつ病)、うつ病などが含まれる精神疾病の疾患群(分類・カテゴリー)のことである。感情障害ともいう。

 

精神疾病の分類には、WHOが作成するICD10のほかに米国精神科学会が作成するDSM-5が用いられる。

 

ICD10では精神疾患は「精神および行動の障害」に分類され、その中に統合失調症や気分障害などが分類されている。DSM-5では気分障害という項目はなく、うつ病と双極性障害がそれぞれ別のカテゴリーとして分類されている(図1)。

 

図1ICD10における気分障害の位置づけ

 

うつ病

「自覚的・他覚的にほとんど一日中ふさぎ込んで気分の晴れない嫌な状態:抑うつ気分」(表1①)または「それまで好きだったことや興味のあったことにも無関心で楽しめない状態:興味・喜びの喪失」(表1②)のうちの少なくともどちらかが2週間以上続き、その他の周辺症状(表1③~⑨)を5つ以上認める場合に疑われる。これらの症状に加えて、本人が著しい苦痛を感じており社会的・職業的に支障をきたし、他の原因(頭蓋内疾患、代謝内分泌疾患、薬物の副作用など) が除外される場合に診断される。

 

表1うつ病の診断基準(DSM-5)

 

双極性障害

気分が持続的に高揚し、開放的でいら立たしく、普段と異なる期間が少なくとも一週間以上続く状態である。また、制御のきかない買い物や性的無分別な行動など、望ましくない結果に至る可能性が高い快楽的活動に熱中するなどの躁症状が明らかに3つ以上認められる場合に診断される(表2)。ただし、うつ病と同様、他の原因を除外する必要がある。

 

表2双極性障害の診断における躁病エピソード

 

躁状態がある場合は双極I型障害、軽躁状態だけの場合は双極II型障害と呼ばれる(図2)。

 

図2双極性障害の種類

 

躁状態は、職業的機能や日常の社会活動または他者との人間関係に著しい障害を起こすほど、または自己または他者を傷つけるのを防ぐために入院が必要であるほど重篤である場合に診断される。一方、軽躁状態は、入院が必要なほど重篤ではない場合とされる。

 

以前は用いられていた「躁病」を単独で診断名として使うことは近年ほとんどなく、双極性障害として扱われる。「躁」のみを認める場合は「躁状態」と表現することが多い。

執筆: 小森大輝

順天堂大学大学院医学研究科 総合診療科学大学院生

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