最終更新日 2018/02/22

クリック

クリックとは・・・

クリック(くりっく、click)とは、収縮期中期から後期に聴取されるパチンとう高音の過剰心音のことで、僧帽弁の逸脱に伴って生じることが多い心音である。

 

収縮期中期~後期クリック音

収縮期中期~後期クリック音は、心尖部または胸骨下部左縁を最強点とし、Ⅰ音とⅡ音の間に聴取される。その音は鋭く高調な特徴的な音であり、ヨットの帆などが膨らんで急に緊張したときに生じる音として例えられる。

 

収縮期中期~後期クリック音が聴かれる場合は、僧帽弁逸脱の存在を疑う。僧帽弁逸脱の場合には、僧帽弁の弁尖が左房側に落ち込むことにより僧帽弁の前尖と後尖に間隙が生じて僧帽弁の逆流(閉鎖不全)を合併することがあり、その場合にはクリック音に引き続いて収縮期逆流性雑音を聴取するので注意が必要である。

 

収縮期中期~後期クリック音と僧帽弁逸脱(症)の関係

収縮期中期~後期クリック音を聴取した場合には、僧帽弁逸脱と診断されることがほとんどである。
僧帽弁逸脱とは、収縮期に僧帽弁が閉鎖した後に、その弁尖が左房内に落ち込んでヨットの帆のように張り出す現象を指す。僧帽弁の逆流を伴わない場合にはクリック音が聴取される以外に基本的には無症状であるが、ほとんどの場合が無症状であるが、時に胸痛・動悸などの症状を呈することがあり、その場合にはクリック症候群、もしくは僧帽弁逸脱症とされる。

 

僧帽弁逸脱は原因不明の特発性であることが多いとされるが、僧帽弁の粘液腫性変化、マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群などの基礎疾患が隠れていることもある。

 

僧帽弁逆流症を合併した場合には、その重症度に応じて僧帽弁形成術、僧帽弁置換術などの手術治療が選択される。

執筆: 松岡由典

京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野

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