最終更新日 2017/07/25

完全置換型人工心臓

完全置換型人工心臓とは・・・

完全置換型人工心臓(かんぜんちかんがたじんこうしんぞう)とは、患者の心臓の代わりに全身の血液循環を担うポンプ装置である。患者の心臓を完全に取り除き、人工心臓を元の位置に入れて心臓の代わりとして使用する。英語のtotal artificial heartの頭文字をとってTAHと記載される場合が多い。

1982年より臨床使用され、心臓移植を行うまでの心臓機能の代用として使用されている。現在でも欧米における末期心不全患者に対する心臓移植までのブリッヂ(つなぎ)としての使用が主であるが、近年では必ずしも移植を目的とせず、最終的な在宅治療を目的としたTAHの使用も開始されている。

日本国内の臨床では完全置換型人工心臓は使用されたことがない(2017年6月現在)。日本においては、心臓の機能を一部補助する補助人工心臓により心臓移植を待機する方法が実施されている。

 

問題点

完全置換型人工心臓は「血液ポンプ」「バッテリー」を体内に埋め込むため、下記の問題が起こることがある。
・簡単に電池の交換や「血液ポンプ」の調整を行うことができない。
・完全置換型人工心臓の不調が起きると手術での交換が必要になり、大きな手間と患者への負担がかかる。

 

安全基準

完全置換型人工心臓には外側にモーターや制御装置を装着する補助人工心臓より厳しい安全基準がある。
・完全置換型人工心臓の材質を長期間体に入れていて人体に影響はないか。
・体内で故障しないか。
・体内で腐食しないか。
・血栓(けっせん:血管内で血液が固まり、血流をふさぐこと)が長期にわたって起きないか。
・体に負担がかからないよう小型化、軽量化されているか。

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