最終更新日 2018/01/23

クボステック徴候

クボステック徴候とは・・・

クボステック徴候(くぼすてっくちょうこう/Chvostek's sign)とは、低カルシウム血症が原因で起こる病的反射である。外耳道の直前で顔面神経を指やハンマーで軽く叩く(頬を軽く刺激する)と、同側のの左右両端(鼻翼)やまぶた、上唇などで筋肉がぴくぴく収縮する反射のことをいう。ベッドサイドで簡単に実施できる。低カルシウム血症は、血液中のカルシウム濃度が低くなった状態(血漿カルシウム濃度8.5g/dl未満)のことである。

 

軽度の場合は無症候性のことが多い。中等度(血漿カルシウム濃度7.0-8.0mg/dl)あるいは重度(血漿カルシウム濃度7.0mg/dl未満)に低下した場合、テタニーを引き起こす。テタニーの特徴は、口唇、舌、指、足の知覚異常など感覚に関する症状、手足、顔面筋の攣縮、全身の筋肉痛などである。中等度の低下の場合、症状が潜在性になることがあり、クボステック徴候は潜在性テタニーを誘発するために行う。またこの徴候は時に健常人の10%にも存在するが、一方で慢性の低カルシウム血症でも認めないことがあるので注意が必要である。潜在性テタニーを誘発する他の方法としてトルソー徴候がある。

 

血液中のカルシウム濃度の約半分は、細胞機能の維持、調整に重要なイオン化カルシウムで、残りの約半分は血清タンパクと結合している。イオン化カルシウムは測定が難しいため、総カルシウム濃度を測定している。低アルブミン血症では結合カルシウム濃度が低下するため、イオン化カルシウムが正常でも見かけ上低カルシウム血症となることがある。そのため、血清アルブミン値が4g/dl未満の場合は、以下の補正が必要である。

 

補正カルシウム濃度=実測カルシウム濃度+(4-血清アルブミン値)

執筆: 勝呂俊昭

菊名記念病院 総合診療科医長

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