最終更新日 2019/09/30

へき地医療

へき地医療とは・・・

へき地医療(へきちいりょう)とは、山間部や離島など、医療の確保が困難な地域で行われる医療のことである。へき地診療所や小規模な病院がその役割を担っている。

【「へき地」および「無医地区」の定義】
へき地とは、「交通条件及び自然的、経済的、社会的条件に恵まれない山間地、離島その他の地域のうち、医療の確保が困難であって、無医地区、無医地区に準じる地区」と厚生労働省により定義されている。

ちなみに、無医地区は、同じく厚生労働省により「医療機関のない地域で、当該地域の中心的な場所を起点として、概ね半径4kmの区域内に人口50人以上が居住している地域であって、かつ、容易に医療機関を利用することができない地区」と定義されている地区のことである。
無医地区は、2014年10月末時点で、全国に637地区となっており、数は減少傾向にあるが、その理由としては、「人口が50人以下になった」というものが多く、医療の必要性は依然としてあることから、その対策が必要とされている。

【へき地医療の実際】
医療資源の少ないへき地における医療は、へき地診療所が担うことが多い。しかし、多くのへき地診療所では医師は1人であること、また、医療設備が少ないこともあり、へき地診療所のみで医療が完結することは少ない。緊急時には、ドクターヘリなどによりへき地医療拠点病院などの地域の病院へ搬送するなど、地域医療機関との連携も重要になる。
また、へき地医療診療所は、診断・治療だけでなく、健康診断や疾病予防など保健分野における地域住民への関わりも重要となる。

へき地医療拠点病院は、へき地や無医地区の巡回診療やへき地診療所への医師派遣及び、技術指導・援助、またへき地医療従事者の研修や研究施設の提供などの活動が求められる。

なお、2014年時点でへき地診療所は1,038施設、へき地医療支援病院は296施設ある。

 

引用参考文献
1)厚生労働省.“へき地医療の現状と課題”.(PDF)
2)地域医療計画実践コミュニティー(RH-PAC)“へき地医療(過疎地域医療)”.東京大学公共政策大学院医療政策・教育研究ユニット(HPU).(PDF)
3)厚生労働省.“へき地保健医療対策検討会報告書 平成27年3月”(PDF)

執筆: 永澤成人

東京慈恵会医科大学医学部 看護学科老年看護学助教

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