最終更新日 2019/09/30

社会的入院

社会的入院とは・・・

社会的入院(しゃかいてきにゅういん)とは、治療の必要がない患者が長期間、入院し続けることを指す。大別して、高齢者の介護施設代わりとして利用されるケースと、精神科領域における社会的入院の2つのケースがある。

 

高齢者の社会的入院

日本においては長らく、自宅での介護が難しいなどの理由から入院を続ける高齢者の社会的入院が問題となっていた。不必要な長期入院は、医療費増大、ベッドの満床による救急患者の受け入れ困難など様々な問題を引き起こす。

 

主に高齢者の社会的入院解消に向けた施策択

政府は介護目的の社会的入院を解消するために、医療保険とは別系統の介護保険制度を2000年に創出した。また医療保険においても診療報酬上の政策誘導によって、平均在院日数の短縮化を図っている。

 

精神科における社会的入院

精神科においては家族の受け入れ拒否や薬物療法の副作用、長期間に渡る入院生活から来る社会復帰への不安など様々な理由から、余儀なく長期入院している患者がいる。

OECD(経済協力開発機構)各国の精神病院入院日数は、平均して50日以内がほとんどであるにも関わらず、日本では300日以上の長期入院が慢性化しており、諸外国と比べて突出している。このことからも早期に入院医療から脱出した諸外国と比較し、日本の精神医療が多くの課題を抱えていることがわかる。

執筆: 永澤成人

東京慈恵会医科大学医学部 看護学科老年看護学助教

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