中心静脈栄養法とは・・・
中心静脈栄養法(ちゅうしんじょうみゃくえいようほう、total parenteral nutrition;TPN)とは、心臓に近い中心静脈に挿入したカテーテルを介して、栄養製剤を投与する治療法である。鎖骨下静脈や内頚静脈から専用の穿刺針を刺し、中心静脈(上大静脈)までカテーテルを挿入する。高カロリー輸液を投与するのが一般的。以前は、IVH(intravenous hyperalimentation)と呼ばれていたが、正確な名称ではない。
主に、経口から栄養摂取が困難な場合や、消化管での栄養吸収が障害された場合、末梢静脈栄養が長期化されると予測される場合に用いられる。ただし適応基準は、患者の状態などによって異なる。
中心静脈栄養法に用いられる輸液は、アミノ酸や糖質、脂肪、ビタミンなど生命維持に必要な栄養素が含まれている。また、この輸液は高濃度のため、末梢静脈から投与を行うと静脈炎を起こしやすい。このため、血流量が多く、速やかに希釈できるような太い血管がある中心静脈から細いカテーテルで注入する必要がある。
メリット
・消化器系への負担が軽減できる。
・必要なエネルギーや栄養素の確実な投与が可能である。
・緊急時に早急な薬液の投与が可能である。
・一度カテーテルを入れておくと何度も穿刺をする必要がないため、痛みが軽減される。
・条件によっては在宅でも実施できるためQOLが上がる。
デメリット
・高血糖、肝機能障害などの合併症の可能性がある。
・血流感染や静脈炎などのリスクがある。
・腸管粘膜が萎縮し、消化機能が低下する。
・血栓が形成されることがある。
・衛生面など管理には細心の注意が必要である。
引用参考文献
1)茂野香おる.非経口的栄養摂取の援助.系統看護学講座 基礎看護技術II,16版,医学書院,2013,42-49.(ISBN9784260015790)
2)中心静脈栄養(TPN).株式会社大塚製薬工場.