肺拡散能とは・・・
肺拡散能(はいかくさんのう、pulmonary diffusion)とは、肺胞から肺胞の毛細血管に酸素などのガスを供給する能力のことである。通常は一酸化炭素(CO)について測定し、肺胞分圧1mmHg当たり1分間に肺胞気から血中に移行するCOの容積(mL)で表現する(記号:DLCO)。
これはCOのヘモグロビン親和性がO2の210倍もあり、低濃度で測定でき、かつ肺毛細管内のCOを0とみなせるため、検査が簡単であるからである。
肺胞と毛細血管の間ではガス交換が行われている。ただし、吸い込んだ空気と血液が直接接触するのではなく、ガス交換が行われるためには、肺胞を構成する細胞、肺胞を取り巻いている間質、血管壁の細胞などのバリアを通り抜けて酸素や二酸化炭素が移動しなければならない。このバリアを通り抜ける能力を肺拡散能という。
肺拡散能低下の要因
肺拡散能の低下は、肺に原因がある場合と肺胞に接する血管に原因がある場合の2つに分類することができる。
肺性因子
肺性因子では、肺胞壁が何らかの原因により障害が出て肺胞壁にガスが通過しにくくなることで、肺拡散能が低下する。
肺胞壁に障害が出る代表的な肺疾患として、間質性肺炎や急性呼吸吸促症候群などが挙げられる。
肺外性因子
肺外性因子では、以下のような要因が挙げられる。
・心拍出量低下
心拍出量が低下すると、肺胞に接する血管の血液量が低下し、肺胞のガスが血液内に移動できる量が減少する。それにより、拡散能が低下する。
・貧血、喫煙
血管内の大半の酸素はヘモグロビンによって運搬される。したがって、ヘモグロビンが減少すると肺胞から受け取れる酸素量が低下し、肺拡散能が低下する。
貧血では純粋にヘモグロビン量が低下することで肺拡散能が低下する。 喫煙、一酸化炭素(CO)中毒ではヘモグロビンにCOがつくことで、ヘモグロビンが酸素を受け取ることができなくなり、肺拡散能が低下する。