人工呼吸器のトラブルには、 どんなものがあるの?|人工呼吸器の使い方
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『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「人工呼吸器のトラブル」に関するQ&Aです。
春田良雄
公立陶生病院臨床工学部技師長
人工呼吸器のトラブルには、どんなものがあるの?
人工呼吸器本体のトラブル、回路のトラブル、患者側のトラブルに分けられます。トラブルが発生すると、アラームが鳴ります。
〈目次〉
起こりうるトラブル
1人工呼吸器本体のトラブル
人工呼吸器本体のトラブルには、人工呼吸器本体の故障、供給される医療ガスの供給ガス圧低下、電源異常がある。
1)人工呼吸器本体の故障
吸気弁、呼気弁の故障(図2)、内部の基盤の故障などがある。
2)供給される医療ガスの供給ガス圧低下
人工呼吸器は、酸素と圧縮空気を使用して作動する。これらのガスが供給されなくなると、人工呼吸器は換気ができなくなる。
ガス圧低下は、マニホールドシステム(供給装置故障時に作動する切り替えシステム)の故障、ボンベが空になったとき、フィルターの目詰まりによって生じる。
3)電源異常
コンセントの差し忘れ、停電などによって起こる。最近の人工呼吸器はバッテリーを搭載しているため、停電が発生してもすぐに作動は停止せずに、エラーメッセージを表示するようになっている(図3)。
2回路のトラブル
人工呼吸器の回路トラブルは、回路からのリーク(漏れ)、回路の外れ、回路の屈曲などがある。
1)回路からのリーク
ウォータートラップや加温加湿器などの接続のゆるみによって起こりやすい。最も多いのは、ウォータートラップの装着不良である(図4)
2)回路の屈曲
患者を体位変換したときなどに起こりやすい。
3患者側のトラブル
患者側のトラブルには、人工気道(気管チューブ、気管切開チューブ)のトラブルがあり、人工気道の閉塞や人工気道のカフの破損、カフ漏れなどがある。
トラブル発生時の対応
人工呼吸器のトラブルが発生したら、何が原因かを追究して、改善できなければ手動式蘇生器で換気を行う。
人工呼吸器のトラブルに備えて、人工呼吸器には緊急対応セット(図6)を常備しておくとよい。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社