浣腸時、左側臥位にするのはなぜ?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は浣腸の体位に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

浣腸時、左側臥位にするのはなぜ?

 

腸の走行に合っていて無理なく浣腸液が注入できるためです。

 

〈目次〉

 

腸の走行は

解剖学的に下行結腸以下のS状結腸および直腸の走行は、左上より右下方へ走っているため、左側臥位をとるとS状結腸以下の部はきわめて自然な位置をとることができます(図1)。

 

図1腸の走行

腸の走行

 

逆に、右側臥位をとると、S状結腸は右側方へ圧迫されて非生理的な位置をとることになります。また、側臥位は肛門をはっきり確認することができるので、挿入が容易であると同時に安全です。

 

左側臥位での浣腸後、すぐに排便できる環境を整え、患者が安心して浣腸を受けられるようにしておきましょう。

 

立位での浣腸が禁忌である理由は

浣腸を立位前屈で実施すると、直腸前壁にカテーテルが当たり、直腸粘膜を傷つけ、直腸穿孔を引き起こすこともあるため、禁忌となります(図2)。

 

図2立位での浣腸と直腸の解剖との関係

立位での浣腸と直腸の解剖との関係

 

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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