ストレッチャーによる移動
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回はストレッチャーによる移動について解説します。
佐々木祥子
東京都看護協会/小児看護専門看護師
ストレッチャーの工夫
乳幼児用のストレッチャーには、転落を防止する工夫、乳幼児の不安を和らげる工夫が必要である。
図1の乳幼児用ストレッチャーは、転落防止ガードが透明な素材で、写真や絵を挿入できるよう柵にシートが張られ、乳幼児を安全に、また機嫌よく移送できる工夫が施されている。
図1 乳幼児用ストレッチャー
POINT
■患児の移送前に、キャスターの動き、柵の上がり具合、ストッパーのかかり具合などを点検しておく。
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ベッドからストレッチャーへの移動
❶患児と家族に移動することを説明する。ストレッチャーをベッドに対して45度の位置に置き(図2)、ストッパーをかけて柵を下ろす(図3)。
図2 ストレッチャーを45度の位置に置く
図3 ストッパーをかける
❷患児の頭頸部と臀部を保持し、ベッドからストレッチャーに移動させる(図4)。この際、患児を落とさないよう、実施者の体に患児を密着させる。
図4 患児を移動させる
❸患児をストレッチャーに寝かせ、すぐに柵を上げる(図5)。患児をあやして落ち着かせ、掛け物をかける。
柵の状態を確認し、ストッパーを外す。足側を進行方向に向け、2名(頭側と足側)で移送する。
図5 すぐに柵を上げる
POINT
■患児を抱いて移動する際は、落とさないように注意! 実施者の体に患児を密着させる。
■患児をストレッチャーに移したら、ただちに柵を上げる。
■移送時は、掛け物を忘れずに。
■移送時は足側が前。足側に1名、頭側に1名ついて移送する。
POINT
酸素吸入を行っている場合は
■酸素吸入を行っている場合は、ストレッチャーに移動する前に、マスクやカニューレのチューブをすばやく酸素ボンベに接続(図6、図7)。流量を設定する。
図6 チューブを接続する
図7 チューブを接続する
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輸液ポンプ使用中の移動
❶ストレッチャーをベッドに対して45度の位置に置き、ストッパーをかける。ベッド柵が上がっていることを確認する(図8)。
図8 ベッド柵が上がっていることを確認する
POINT
■輸液ポンプの付け替え作業中は、患児から目が離れるため、ベッド柵が上がっていることを確認し、転落を防止する。
❷まず、輸液ラインのクレンメを閉じる(図9)。
図9 輸液ラインのクレンメを閉じる
❸次に、輸液ポンプの電源コードを抜く(図10)。
図10 輸液ポンプの電源コードを抜く
❹❺停止ボタンを押して、輸液ポンプを停止する(図11)。
図11 輸液ポンプを停止する
■クレンメを閉じる前に、輸液ラインを外してしまった!
→薬液が一気に流れて(フリーフロー)、危険! 必ず、クレンメを閉じてから、ポンプの扉を開ける。
❻輸液ポンプの扉を開け、輸液ラインを外す(図12)。
図12 輸液ラインを外す
POINT
■輸液ラインを外す前に、必ずクレンメを閉める。
❼輸液ボトルをストレッチャー側の点滴スタンドにかけ直す(図13)。
図13 輸液ボトルを点滴スタンドにかけ直す
❽❾輸液ポンプを点滴スタンドから外し(図14)、ストレッチャー側の点滴スタンドに取り付ける(図15)。
図14 輸液ポンプを点滴スタンドから外す
図15 ストレッチャー側の点滴スタンドに取り付ける
POINT
■移送中も輸液ポンプの作動状態を確認できるよう、操作面を外側にして患児の頭側に取り付ける。
■輸液ポンプを固定しているネジをしっかりとめる。
❿輸液ポンプに輸液ラインをセットし(図16)、ポンプの開始ボタンを押す。
図16 輸液ポンプに輸液ラインをセットする
■移送することに気をとられ、輸液ポンプの開始を忘れた!
→移送前に、刺入部からポンプまで輸液ラインをたどり、異常がないことを確認する。
⓫患児を移動させるため、ベッド柵を下ろす(図17)。
図17 ベッド柵を下ろす
⓬患児の頭頸部・臀部を保持し、実施者の体に密着させて移動する(図18)。
図18 患児を移動する
⓭ストレッチャーに寝かせ(図19)、柵を上げて掛け物をかける。
図19 ストレッチャーに寝かせる
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
単行本に収録されているWeb動画は掲載していません。視聴されたい場合は、単行本をお買い求めください。
[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ