急変後の家族対応。どうすれば、こじれずに済む?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は急変後の家族対応について解説します。

 

福田ひろみ
徳島赤十字病院 ICU・ER 看護師長/救急看護認定看護師/急性・重症患者看護専門看護師

 

急変後の家族対応。どうすれば、こじれずに済む?

 

最も重要なのは「正確な事実の説明」です。看護師は、説明の場の設定をはじめ、環境調整や心理的支援を行います。

 

 

予期せぬ急変は、医療者のみならず、家族も同様に混乱させます。

 

治療過程で、ある程度予測できる合併症の発生であればまだしも、予測困難な急変、特に生命の危機に至る可能性のある重篤な状況だと、時に、家族怒り不信感を抱くことがあります。

 

急変後の家族の対応の基本は、①家族のニーズに配慮した正確な情報提供と環境調整②心理・身体的支援です。

 

事実を正確に説明する

家族は正確な情報を強く求めています。そのため、急変後の家族対応では、まず、事実の説明を行います。病状悪化に至った経緯を、時間経過に沿って、ていねいに説明することが重要です。

 

説明内容には、病態や治療経過が含まれるため、窓口を一箇所に決め、主治医から説明を行うべきです。ただし、看護師には、説明の場にふさわしい静かな個室を準備し、家族の思いを十分表出できる環境を設定する役割があることを忘れてはいけません。

 

突然死の家族の心理は、衝撃・疑問を抱く・否認・現実逃避などが複雑に混在し、わずかな時間経過のなかで微妙に変化するといわれています1)

 

生命の危機的状態に陥ることもある予期せぬ急変に直面した家族も、同様の心理過程をたどると考えられます。そのため、看護師は、主治医による説明の場に同席し、家族の表情や心理状態を観察し、家族の心情を言語化させ2)、家族の思いにていねいに対応する必要があります(表1)。

 

表1 家族の感情を言語化させるための留意点

家族の感情を言語化させるための留意点

 

 

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面会は、なるべく早く

急変処置が落ち着いたら、可能な限り早急に、家族に面会してもらいます。急変処置中であっても家族対応できるよう人員を配置し、現在行われている処置の状況や経過などの概要を説明し、常に家族への配慮を忘れないようにしましょう。

 

また、面会に備えて、すみやかにベッド周囲の環境を整理します。可能な限り、血液などで汚染された寝衣やシーツは交換しますが、時間的な余裕がなければ少なくとも目に触れないようにすることも必要です。

 

 

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引用・参考文献

1)高山裕喜枝:CPA患者家族の心理プロセスの分析(第2報).日本救急看護学会雑誌 2002;3(2):59‐65.

2)山勢善江 編:救急・クリティカルケアにおける看取り.学研メディカル秀潤社,東京,2008:81.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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