「普段よくある体調変化」から、急変を見抜くポイントは?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は体調変化から急変を見抜くポイントについて解説します。

 

林 晶子
杏林大学医学部付属病院 高度救命救急センター/救急看護認定看護師

 

「普段よくある体調変化」から、急変を見抜くポイントは?

 

自覚症状と他覚所見を経時的に把握することが大切です。

 

入院患者は、もともと何らかの症状を有しています。「普段よくある体調変化」といっても、原疾患の増悪や関連症状の場合も、新たな疾患の初期症状である場合もあります。「急変している」「急変しそうな」徴候を見落とさないように、ポイントを知り、問診や身体観察をすることが大切です。

 

「症状」の見かた

バイタルサインをみながら、症状に関連する情報を得ていきます(表1)。

 

表1 「急変」ととらえるポイントの例

「急変」ととらえるポイントの例

 

自覚症状は、患者の主観的感覚です。緊急度・重症度の推察に不可欠ですが、情報収集(=問診)には知識や経験が必要です。重要な情報を見逃さないよう、OPQRSTなどのツールを使うとよいでしょう。特に痛みは、患者によって表現や感じ方が異なるため、ペインスケールなどで評価します。

 

他覚所見では、緊急度・重症度の高い徴候を見落とさないことが大切です。意図的に他覚所見をみるため、その症状が出る病態・疾患も把握しましょう。

 

また、患者の生活行動治療経過(離床開始、新しい薬剤の使用など)に関する情報も大切です。

 

***

 

心肺停止の6~8時間前に、何らかの徴候が現れるといいます。軽微な症状が徐々に重症化することもあります。患者に「症状が◯◯のように変化したら看護師に知らせてほしい」と説明し協力を得ることや、経時的に症状とその変化をアセスメントすることが、急変回避につながります。

 

高齢者や基礎疾患(糖尿病など)をもつ患者は、特徴的な自覚・他覚所見がなかったり、軽度だったりします。普段よくある体調変化でも、必ず呼吸・循環・意識は、経時的に評価しましょう。

 

 

引用・参考文献

1)岡元和文 編:症状徴候を看る力!.総合医学社,東京,2013.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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