急変発生!医師も看護師も大勢来たが、誰もリーダーシップをとれずに大混乱…。

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は急変対応時の役割について解説します。

 

後藤順一
河北総合病院 看護部/急性・重症患者看護専門看護師

 

急変発生!医師も看護師も大勢来たが、誰もリーダーシップをとれずに大混乱…。

 

急変対応に必要な人員は6名です。まずは「自分に何ができるか」判断し、周囲に宣言してから動くようにするといいでしょう。

 

 

急変発生時には、適切な人員、適切な物品・薬剤を早急に準備して、BLS(一次救命処置)からALS(二次救命処置)へとつなげる対応が必要です。

 

多くの病院では、突然の急変に対して迅速にスタッフを招集するコードブルーなどの緊急コールシステムを導入しています。このシステムは、要請がかかること自体が緊急事態であることを意味するため、一度に多くのスタッフへの伝達・応援要請が可能です。

 

しかし、急変が発生し、コードブルーをかけた際、それを聞きつけた院内の多くの医療者が、必要物品を持って現場に駆けつけたら、現場は一瞬にして大混乱に陥ります(詳しくは「応援要請すると全スタッフが来てしまい、他患者のケアがおろそかに。どう役割采配する?」)。つまり、コードブルーも、適切な人数と、個々の医療者の役割を適正に整備し、さらに、それを全員に理解させなければ、効果的なシステムとはいえません。

 

要するに、人員と物品は、多すぎても少なすぎても、急変対応が困難となるのです。

 

急変対応時の役割

一般的に、急変対応に必要な人員は5名とされています。気道・呼吸の管理に1名、心肺蘇生に1名、静脈路確保・薬剤投与に1名、記録に1名、全体を管理するリーダー1名です。余裕があれば、不足した物品・薬剤などを持ってくる補助的な役割を果たす1名を加えた計6名での対応が適しています。

 

これ以上の人員が急変対応にかかわれば、現場が混雑し、対応の妨げになるばかりか、思わぬ事故を引き起こす可能性もあります。そのための対策として、下記の内容を理解しておくとよいでしょう。

 

1 事前に役割を決めておく

急変時「どう対応するか」訓練しておくことが大切です。病院全体でコードブルー対応訓練に取り組むことで、実際に急変が発生してもスムーズに対応できます。

 

その際には、急変発生時に誰が駆けつけ、誰が指示を出すのかを決めておく必要があります。

 

2 確実に応援を呼ぶ体制をつくる

当然ですが、急変はベテラン看護師だけが発見するわけではありません。そのため、新人看護師が急変患者に出くわしたとしても、とりあえず早急に応援を呼ぶことができるよう指導する必要があります。

 

3 対応する医療者をチームとしてとらえる

急変時には、その場に居合わせた医療者が適切に対応する必要があるため、声をかけ合い、協力し合うことが大切です。淡々と個人で対応するのではなく、自分が何を行うのか、また、必要な役割は何で、誰にその役割を任命するのかを伝える必要があります。皆がバラバラに動いたのでは、適切な急変対応とはいえません。

 

もし、現場を指揮できるリーダーがいなければ、「自分は何ができるか」を判断することが大切です。そして「私は〇〇をやります!」と対応しているチームに伝え、各自の役割を確認して動きましょう。

 

なお、応援要請の担当者には、医師やリーダー看護師に連絡し、現場の指揮をとってもらう必要があります。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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