特別支援学校で生徒が急変。医療機関でない学校でも処置を行っていいの?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は特別支援学校での急変対応について解説します。

 

川崎沙羅
杏林大学医学部付属病院 高度救命救急センター 副主任/救急看護認定看護師

 

特別支援学校で生徒が急変。医療機関でない学校でも処置を行っていいの?

 

救急要請をするとともに、ただちに、その場でできる限りの処置を行う必要があります。

 

 

平成19(2007)年4月から特別支援教育が学校教育法に位置づけられ、すべての学校で障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくこととなりました。

 

特別支援教育の対象となる児童・生徒には、重症心身障害児が含まれており、人工呼吸器の装着、胃管の留置などで医療的ケアが必要となることも少なくありません。

 

文部科学省の調査では、全国の公立の特別支援学校などで、日常的に医療的ケアが必要な幼児・児童・生徒の割合は全在籍者の6.0%1)とされており、増加傾向にあります。

 

医療的ケアに対応するため、看護師の配置も増えつつあります。

 

BLSは必ず実施

重症心身障害児などは、病態悪化による急変のリスクがあるため、学校でも急変対応が迫られます。しかし、学校で実施できる処置には限界があります。

 

実施可能な最大限の処置は、BLS(一次救命処置)です。

 

そのため、急変が起こった際は、ただちに救急通報を行い、救急隊が到着するまで、質の高いCPR(心肺蘇生)とAED(自動体外式除細動器)の実施が重要です。“処置が難しい重症心身障害がある児だから…”と、BLSや日常実施している気管吸引などの可能な処置をためらってはいけません。

 

そのためには、看護師だけでなく、教職員とともに日ごろから急変時、特に心停止時の対応について、BLSの訓練を十分に行うことが重要です。

 

特別支援学校で急変対応を行っているスタッフの様子のイラスト

 

 

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引用・参考文献


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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