2人夜勤時、患者が心肺停止。処置に夢中で記録があいまいに…。どうすればよかった?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載。一部改変。
今回は急変対応時に記録があいまいなときの対応について解説します。

 

宮原聡子
大阪市立総合医療センター 医療安全管理部 主査/集中ケア認定看護師

 

2人夜勤時、患者が心肺停止。処置に夢中で記録があいまいに…。どうすればよかった?

 

まずは「処置」が優先です。あいまいになりがちな「時間」の把握には、モニタやAEDのリコール機能を活用するとよいでしょう。

 

 

人手がある日中ならまだしも、2人夜勤の場合、1人で何役もこなさなければなりません。


CPA(心肺停止)患者を発見した場合、まずは、胸骨圧迫などの蘇生処置を行います。心停止から4~6分でが不可逆的な状態になるため、蘇生は時間との闘いになります。応援が来るまでは、1人が胸骨圧迫、1人が応援要請から物品準備(救急カート、モニタなど)まで、すべて行わなければなりません。

 

その後の経緯検証のためにも、経過記録に「行った処置と時間」を明確に記載する必要がありますが、この場合、記録より処置を優先することはいうまでもありません。

 

「時間」を把握するコツ

急変患者を発見したとき、処置を開始したときなどには、互いに声をかけて時間を確認しておき、後で記録することも可能です。

 

モニタやAED(自動体外式除細動器)の時間をリコールして、後で記載する方法もあります。ただし、そのためには、モニタや AEDの時間が正しくないと正確な記録になりません。普段から、時計・機器類の時間を合わせておくことが大切です(くわしくは「いつも、対応後の記録に困る。どうすれば、適切な記録を残せるの?」)。

 

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記録は応援者に依頼する

夜勤で病棟スタッフがいないときは、他病棟のスタッフ、院内急変対応チーム(RRT、METなど)やコードブルーチームに応援要請をしましょう。

 

そして、応援に来たスタッフに、記録、他患者の対応、処置の介助、蘇生処置が必要な場合は医師到着までの蘇生処置、家族への連絡など、それぞれ役割を担ってもらいます。ベッドを壁から離して頭部の柵を外し、緊急の気管挿管ができるように準備しておくことも大切です。

 

急変時に、誰が何をしているのかわからなくなると、複数人が同じことをしたり、必要な処置が抜けてしまったりします。リーダー看護師が役割を伝え、声を出し合うなどして、チームで情報を共有しましょう。

 

ワンポイント

●記録があいまいになりがちなこととして「時間」「薬剤投与量」があります。

 

●時間については、本文に書かれているように、基準となる時計を決めて、機器類の時間を合わせておくことで対応しますが、問題となるのは「薬剤投与量」です。

 

●急変対応中は処置に専念する必要があるため、使用した薬剤アンプルは1つのトレイにまとめておくとよいでしょう。メモをもとに記録するときに役立つだけでなく、事故防止にも役立ちます。

 

 

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引用・参考文献

1)東京医科大学病院看護部 編:急変・院内救急対応マニュアル.中央法規出版,東京,2013:8‐16,279‐281.

2)佐藤憲明 編:急変対応のすべてがわかるQ&A.照林社,東京,2011:318‐349.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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