大部屋で患者が心停止!個室に移動して対応する間も、胸骨圧迫は実施すべき?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は移動中の胸骨圧迫について解説します。

 

田中雄也
東海大学医学部付属八王子病院 看護部 副主任/救急看護認定看護師

 

大部屋で患者が心停止!個室に移動して対応する間も、胸骨圧迫は実施すべき?

胸骨圧迫が最優先。移動時でも「絶え間なく」続けることが重要です。

 

 

BLS(一次救命処置)でポイントとなるのは、胸骨圧迫に重点を置いた、迅速で、質の高いCPR(心肺蘇生)です。院内で心停止患者を発見したら、すみやかに胸骨圧迫を開始します。


質の高いCPRでは、絶え間ない胸骨圧迫がポイントとなります。胸骨圧迫の中断は10秒未満に抑え、極力中断しないように対応しなくてはなりません。酸素投与も大切ですが、最近では「より胸骨圧迫を優先するべき」と、循環の重要性が強調されています(図1)。

 

図1急変対応の優先順位

ペースメーカのリード

 

胸骨圧迫=循環の確保

すぐにバッグバルブマスクが使えない場合は、気道確保や酸素投与ではなく、胸骨圧迫が優先されます。なぜなら心原性の心停止の場合、最初の数分間は血液中に多くの酸素が含まれているからです。

 

心臓の循環を確保するためには、胸骨圧迫を優先しなければならないことを知っておきましょう。

 

 

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移動時も胸骨圧迫は継続

もちろん、個室に移動するときでも、胸骨圧迫は継続して行います。移動中のストレッチャーの上でも「絶え間なく」胸骨圧迫を続けましょう。

 

なお、BLS中は「不要な移動を避けるべき」とされています。そのため、人数がそろい、ストレッチャー上で胸骨圧迫を継続できる体制が整うまでは、その場で胸骨圧迫を行うべきです。まずはナースコールなどで応援スタッフを集め、人数を確保してから、安全に移動を開始してください。

 

 

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引用・参考文献

1)American Heart Association:ACLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2015準拠.シナジー,東京,2017:37.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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