ペースメーカ植込み直後の心停止。胸骨圧迫を行うと、リードがズレてしまう…。
『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は胸骨圧迫時にペースメーカのリードがズレてしまう問題について解説します。
髙西弘美
高槻病院 看護部/救急看護認定看護師
ペースメーカ植込み直後の心停止。胸骨圧迫を行うと、リードがズレてしまう…。
心肺蘇生で最も優先されるのは胸骨圧迫です。
たとえリードがズレても、心拍再開後に対応すれば大丈夫です。
心停止が起こった場合、何をおいても、まずは胸骨圧迫を行うことが優先されます。そのため、ペースメーカのリードのズレに関しては、心拍再開後、リードの位置を確認するしかありません。
どんな状況下でも、心停止時の対応で最も重要なのは「正しい位置を圧迫すること」です。
直後のリードはズレやすい
ペースメーカ植込み術を行ったにもかかわらず心停止を起こすケースの多くは、リード先端の外れ、または、リードの断線と考えられます。
一般に、ペースメーカのリードは、植込み術の際に固定されるわけではありません。術後数週間が経つと、徐々にリードの先端と心筋が癒着し、引っ張ってもなかなか抜けないくらい固定されますが、植込み直後はリードの先端(ヒゲのような部分)が心臓内壁の組織に引っかかることで、抜けやズレを防いでいるだけなのです(図1)。
個人差があるものの、リードが固定されるまでには、1~3か月かかるといわれています。それまでの間は、植込み側の腕を肩よりも頭側に動かすだけでリードが引っ張られ、移動してしまうこともあります。
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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社