ダヴィンチ(手術支援ロボット)のロールアウト~収納
『ダヴィンチ導入 完全マニュアル』(メジカルビュー社)より転載。
今回はダヴィンチ(手術支援ロボット)のロールアウト~収納について解説します。
川野裕也
湘南東部総合病院 臨床工学技士
次回使用時にスムーズに準備できるよう、適切に片付けを行う。
・ダヴィンチはドレープを外した後、15分以上経過してから電源を切り、LAN ケーブルを外す。
・モニターの設定やアームの順番を元通りにしておく。
・ペイシェントカートは必ず充電する。
ロールアウト時
ペイシェントカートを引く際は、患者の足に気をつけながら臨床工学技士が後退させる。看護師はケーブルを巻き込まないようにフォローする。
再度ロールインする場合もあるため、ポートが外れるまではドレープはそのままにしておく。
ロールインやロールアウトは、緊急時に備えて看護師もできるようにしておくことが大切である。
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オペ終了後
ドレープを外してから15分後に電源を切る。電源を切る際は、ビジョンカート、サージョンコンソール、ペイシェントカートのどの電源ボタンを押してもよい。
電源を切ってから15分以上経過するまでは LAN ケーブルを外さない。
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片付け時
アームを 4️⃣ 1️⃣ 2️⃣ 3️⃣ 番アームの順に戻しておく。
サージョンコンソール、ビジョンカート、ペイシェントカート、周辺機器を所定の保管場所へ戻す(図1)。
図1ダヴィンチの片付け
ペイシェントカートは14時間以上の充電が必要のため、使用後は必ず電源コンセントへ接続して充電を行う。充電を忘れると、次回使用時にエラー発生の原因となるため必ず充電する!
コラム「ロボット手術を執刀しているのってどんな感じ?」
筆者はこれまで50例以上のロボット手術を執刀してきた。その感想としては、最初の3例は地獄のように大変で、10例までは腹腔鏡手術より少し大変で、20例を超えると明らかに腹腔鏡手術よりもラク、である。いろんなロボット執刀医に聞いたが、だいたい50例を過ぎると「もう腹腔鏡には戻りたくない」と言う。筆者も、あんなに疲れて、肩と腰が痛くなり、手がしびれるほど強く握り続けて行う腹腔鏡手術にはもう戻れない。
「なにを勝手な」と思うかもしれないが、悪い体勢で長時間立ったまま苦しい思いをして行う手術と、座って自分の最適な高さに肘を置き、手洗いもせずときどき背伸びをしながら行う手術のどちらが高い質になるのだろうか?
ただし、助手の医師と器械出し(直接介助)看護師は、手数が少な過ぎるという意味でだいぶつまらないようである。多くの病院で、ロボット手術の器械出しは1年目や2年目が「やらされる」と聞いた。とある気骨ある外科医は、ロボット操作が始まったら器械出し看護師はいなくなってよい、としているそうだ(筆者は安全性の面からそれは導入していないが)。ロボット手術は人手がいらない、つまり人件費コストが大きく下げられるのもメリットの1つである。
(医師 中山祐次郎)
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本連載は株式会社メジカルビュー社 の提供により掲載しています。
[出典] 『ダヴィンチ導入 完全マニュアル』 編集/中山祐次郎/2023年3月刊行/ メジカルビュー社