ダヴィンチ(手術支援ロボット)の術中点検

『ダヴィンチ導入 完全マニュアル』(メジカルビュー社)より転載。
今回はダヴィンチ(手術支援ロボット)の術中点検について解説します。

 

相馬弥将
湘南東部総合病院 手術室看護師

 

 

 

Point

①ダヴィンチ本体の点検

・カメラや器具類のコードが正しく挿入できているか確認する。

・対極板のコードが正しく挿入できているか確認する。

②周辺機器の点検

・セットしたインストゥルメントが正しく使用できる状態か(エラーが出ていないか)確認する。

③腹腔鏡または開腹移行への対処

・ダヴィンチ手術からの移行も想定して、術前に必要器具を準備しておく。

 

ダヴィンチ本体の点検事項

各種コード・チューブが接続できているか確認する

ダヴィンチカメラ、バイポーラコード、モノポーラコード、電気メス、ソフト凝固の A コード、送気・排気用チューブが接続できているか確認する。
ダヴィンチ用のバイポーラコード、モノポーラコードは接続する向きが決まっている。接続口に白い逆三角のマークがあり、コードにも同じように三角のマークがあるので、マークに合わせ接続する(図1)。

 

図1バイポーラコードとモノポーラコードの挿入の向き

バイポーラコードとモノポーラコードの挿入の向きを示した画像

接続口の白い逆三角マークと、コードの三角マークを合わせるように接続する(赤丸)。

 

電気メスが使用できるか確認する

対極板のコードを挿入し、対極板ステータスディスプレイで点検する。
ランプが青の場合は使用できる。ランプが赤の場合は、正しく接続できていないか、患者側の対極板が適切に貼付できていないため確認する(図2)。

 

図2対極板ステータスの確認

対極板ステータスの確認する様子の画像その1

青:使用可能

対極板ステータスの確認する様子の画像その2

赤:確認が必要

 

 

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周辺機器の点検事項

インストゥルメントにエラーが出ていないか確認する

インストゥルメントに関しては、セットする際にダヴィンチが認識する。使用回数がなくなって使用できない鉗子があるときは予備鉗子と変更する。また、使用回数が残っている鉗子でエラーが出た(オレンジ色のライトが付いた)場合もすぐに使用を中止し、予備鉗子を使用する。エラーが出た鉗子については、業者に連絡して点検に出す。


インストゥルメントの使用回数は外回り看護師が確認し、ダヴィンチ症例用紙に記入するようにしている。


インストゥルメントの使用回数がなくなると、インストゥルメントにあるライフエンド・インジケータ(図3)がオレンジ色になる(オレンジ色にならない製品もまれにあるが、使用できる状態ではないため、業者に連絡して点検に出す)。

 

図3インストゥルメントのライフエンド・インジケータ

インストゥルメントのライフエンド・インジケータを示した画像

ライフエンド・インジケータでインストゥルメントの使用回数を確認する。

 

カニューラゲージピン(図4)を使用したテストを行い、インストゥルメントが使用できるかを確認する

 

図4カニューラゲージピン

カニューラゲージピンを示した画像

 

 

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腹腔鏡または開腹手術に移行する際の注意点

腹腔鏡または開腹手術への移行は、大出血などいつも緊急事態と心得て、迅速な移行(できれば3分以内)ができるように準備しておく必要がある。

 

ダヴィンチ手術から腹腔鏡手術に移行する場合

インストゥルメントを外し、ロールアウトできる準備が整ったら、臨床工学技士がロールアウトを行う。その間に部屋に用意していた3Dカメラ(オリンパス社)を準備し、接続できるようにする。
ロールアウト後、オリンパスの外科タワーを近づけて3Dカメラを接続する。ポートはダヴィンチで使用したものをそのまま使用する。
腹腔鏡で使用する鉗子は術前に出しているので、そのまま使用する。

 

ダヴィンチ手術から開腹手術に移行する場合

インストゥルメントを外し、ロールアウトできる準備が整ったら、臨床工学技士がロールアウトを行う。
開腹手術に移行することも考慮し、器械展開時に開腹手術のための器械セットを出しておく。

 

 

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本連載は株式会社メジカルビュー社 の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『ダヴィンチ導入 完全マニュアル』 編集/中山祐次郎/2023年3月刊行/ メジカルビュー社

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