ダヴィンチ(手術支援ロボット)のセットアップ

『ダヴィンチ導入 完全マニュアル』(メジカルビュー社)より転載。
今回はダヴィンチ(手術支援ロボット)のセットアップについて解説します。

 

川野裕也
湘南東部総合病院 臨床工学技士

 

 

 

機器の準備

①移動前に各カートのコンセントが接続されていないことを確認する。


②セッティングする手術室の搬入スペースが十分か確認し、機器を移動させる。


③ビジョンカート、サージョンコンソールのストッパーがかかっているか確認する。


④ビジョンカートおよび電気メス、サージョンコンソール、ペイシェントカートのコンセントが、それぞれコンセントに1本ずつ配線されているか確認する。


⑤サージョンコンソール、ペイシェントカートからビジョンカートへファイバーケーブルが配線されており、きちんと接続されているか確認する。


⑥サージョンコンソールのシミュレーターのファイバーケーブルが外されているか確認する。


⑦シミュレーターのコンセントが抜けているか確認する。


⑧ビジョンカート、サージョンコンソール、ペイシェントカートの電源ボタンがオレンジ色に点灯しているか確認する。


午前に手術がある場合は、①~⑦を前日に準備し、⑧を当日に確認する。

 

 

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電源ON~アームのセット

①電源を入れる。ビジョンカート、サージョンコンソール、ペイシェントカートは連動されており、いずれかの電源ボタンを押すと3台とも電源が入る。


②電源ボタンが青色に点灯しているか確認する。
「da Vinci is ready.」が聞こえるまでサージョンコンソールを覗きこまない。ペイシェントカートのハンドルを触らない。


③ペイシェントカートのアームランプが青く点灯しているか確認する。
アームが近すぎるとオレンジ色のランプが点灯する。あるいは青のランプが点滅している場合はアームの間を広げる。


④アームをセッティングする(外科手術では 1️⃣ 2️⃣ 3️⃣ 4️⃣ 番アーム、泌尿器科手術では医師によって 4️⃣ 1️⃣ 2️⃣ 3️⃣ または 1️⃣ 2️⃣ 3️⃣ 4️⃣ 番アームの順にセットしている)。
4️⃣番アームの移動時は、アーム根本のロックを解除しながら移動させる。


ドレーピングしやすいように各アームの間隔を広げる。看護師がペイシェントカートのアームにドレーピングを行う。


⑥ターゲティングレーザー内にアームが入らないように、アーム上部までインストゥルメントアームを畳む。

 

⑦ビジョンカート内電気メスの電源を入れて「Re Call」を押すと、前回と同じ設定で立ち上がる(図1)。

 

図1ビジョンカート内電気メスへのコード接続完了時の様子

ビジョンカート内電気メスへのコード接続完了時の様子の画像

 

⑧サージョンコンソールを覗き「フォン」と音が鳴るか、ビジョンカートのカラーバーの映像が右目、左目用にそれぞれ出力されているか確認する。
片目のみ映る場合は青いコードが接続されていない可能性がある。


⑨サージョンコンソールの動作確認を行う。


⑩臨床工学技士が立ち会い、カメラが正しくビジョンカートに映るか確認する。


サージョンコンソールは、医師ごとに好みの設定を記憶させることができる(図2)。

 

図2サージョンコンソールの設定の記憶

サージョンコンソールの設定の記憶の画像

 

 

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患者入室時

消化器外科手術の場合

①患者入室時より臨床工学技士が立ち会う。


②患者麻酔導入後、左半結腸切除術の場合のみサブモニターを手術室内へ搬入する。


術野から降ろされたコード、チューブを電気メス、気腹装置、排煙装置、吸引器へ接続する。


④腹部にポートを挿入し、カメラが腹腔内に入ったら録画を開始する。

 

泌尿器科手術の場合

①腹部にポートを挿入し、カメラが腹腔内に入ったら録画を開始する。

 

 

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ロールイン時

消化器外科手術の場合

①臨床工学技士がペイシェントカートを操作しロールインする。


②臨床工学技士1名がペイシェントカートを前進させ、もう1名の臨床工学技士がケーブルを保持しフォローする(図3)。
ターゲティングレーザーをカメラポートに合わせゆっくり前進させる。

 

図3ペイシェントカートのロールイン

臨床工学技士がペイシェントカートを押して前進させす画像

臨床工学技士がペイシェントカートを押して前進させる。

ターゲティングレーザーをカメラポートに合わせゆっくり前進させる様子の画像その1

ターゲティングレーザーをカメラポートに合わせゆっくり前進させる様子の画像その2

ターゲティングレーザーをカメラポートに合わせゆっくり前進させる。


③右半結腸切除術では、テープの貼ってある位置を参考に前進させる。


④左半結腸切除術で、斜めからロールインする場合はテープの貼ってある位置からまっすぐロールインする。ロールイン後、各モニターを医師、看護師の見やすい位置へ移動させる。


⑤横からロールインする場合は、手術台真ん中辺りまで角度をつけず前進させ、ゆっくり角度をつけていきながらロールインをする。

 

泌尿器科手術の場合

①臨床工学技士がペイシェントカートを操作しロールインする。


②患者の足に注意しながら臨床工学技士1名がペイシェントカートを前進させ、もう1名の臨床工学技士がケーブルを保持しフォローする。
ターゲティングレーザーをカメラポートに合わせゆっくり前進させる。

 

 

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本連載は株式会社メジカルビュー社 の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『ダヴィンチ導入 完全マニュアル』 編集/中山祐次郎/2023年3月刊行/ メジカルビュー社

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