コラム:脾臓とは?
『ナスさんが教える! ぴんとくる消化器外科看護』より転載。
今回は脾臓について解説します。
著者/ぷろぺら(看護師)
医学監修/平野龍亮
相澤病院外科センター乳腺・甲状腺外科
外科専門医・臨床研修指導医
そういえば、膵臓のすぐそばに脾臓がありますけど、脾臓ってどんな役割があるんですか?
脾臓の役割は以下の4つです。
免疫機能
リンパ球などの免疫細胞を成熟・増殖させる免疫応答を行います。
血球破壊機能
古くなった赤血球を破壊し、赤血球中のヘモグロビンから鉄を回収します。
造血機能
造血作用は通常は骨髄で行われていますが、大量出血や骨髄の機能が低下したときには代わりに造血を行います。
血液貯留機能
量としては多くないですが、血液を貯蔵し、運動時など筋肉が大量の酸素を必要とするときなどには、血液を駆出して筋肉へ酸素を届けています。
地味にいろいろ機能がありますね。
脾臓に行く血管が膵臓に張りつくように走っていて、丁寧に剥がすのは大変。
その血管が最後、複雑に枝分かれしてから脾臓に入るんだよ。だから、脾臓ごと取れたら手術は早いよね。手術時間が短いのは患者さんのためになるし、脾臓を残すかどうかはその利点との天秤だね。
それに、癌の手術では周囲のリンパ節を郭清したいんだけど、脾臓の入口にあるリンパ節もその対象になることが多いんだ。
複雑に枝分かれした血管の間とかにリンパ節がいっぱいあるんだよ…そうなると脾臓ごとじゃないと取り切れないね。
残せるものなら残したいけど、残せないことがあるってことなんですね…
脾臓摘出後は血小板が増加するから、抗血小板薬が投与されることもあるよ。
それに、長期的には免疫力も落ちるから、退院して落ち着いたら肺炎球菌などの予防接種を受けてもらおうね。
【著者プロフィール】
ぷろぺら(@puropera44)
看護師。これまでに慢性期病棟、クリニック、消化器外科、HCU、救急病棟、泌尿器科、腎臓内科などを経験。
看護roo!では『マンガ・ぴんとこなーす』を連載中。
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本連載は株式会社南山堂の提供により掲載しています。
[出典] 『ナスさんが教える! ぴんとくる消化器外科看護』 著者・ぷろぺら/医学監修・平野龍亮/2020年3月刊行/ 南山堂