ストーマケアの基本

『ナスさんが教える! ぴんとくる消化器外科看護』より転載。
今回はストーマケアの基本について解説します。

 

著者/ぷろぺら(看護師)

医学監修/平野龍亮
相澤病院外科センター乳腺・甲状腺外科
日本外科学会専門医・日本乳癌学会乳腺認定医・臨床研修指導医

 

 

ストーマは造設後1週間程度、手術による浮腫で赤く腫れています。この時期は刺激に敏感なので、面板が軟らかい術直後用の装具を装着します。

 

浮腫がひくのを目安に抜糸を行い、日常の生活のなかで使用する装具に変更していきます。

 

なお、軟便や水様便は消化液の成分を含んでいるためアルカリ性で、皮膚に長時間付着すると皮膚があれてスキントラブルの原因となります。

 

ストーマケアの手順

ストーマケアの手順 剥離剤を使って口側から肛門側に向かって面板を剥離

剥離剤を使って口側から肛門側に向かって面板を剥離。無理に剥がそうとせず、剥離剤を使用しながら面板を引っ張らず皮膚を軽く押さえる感じで自然な力で剥離する。なお、剥離剤には液体タイプ、ワイプタイプ、スプレータイプがある

 

 

ストーマケアの手順 たっぷりの泡を使って洗浄する

たっぷりの泡を使って洗浄する。ストーマは粘膜なので、あまり一生懸命洗わないでOK。周囲の面板がついていたところやストーマ頸部は指の先でクルクルとなでるように洗う

 

 

ストーマケアの手順 たっぷりの水で泡をしっかり落とす

たっぷりの水で泡をしっかり落とす。ベッド上で行う場合は、お腹に袋をつけたりするなどして工夫する。水は遠慮せず、シャワーするくらいのつもりで! 拭きとりはこすらず。押さえ拭きしてやさしく水分をとる

 

 

ストーマケアの手順 ストーマを測定する

ストーマを測定する。縦横の幅(最大径とストーマ頸部)、高さを測定。縦横は一番大きなところ、高さは頸部から排出孔(便の出口)までを測定。この数字は記録しておくこと! 双孔式のときは、口側と肛門側を事前に確認しておく

 

 

ストーマケアの手順 ストーマに透明なフィルムを当てカットする部分をマーキングする

ストーマに透明なフィルムを当て、カットする部分をマーキングする。このとき、ストーマ自体の大きさではなく、頸部の大きさでマーキングする。頸部とカットする部分の幅は1〜2mm程度が目安。狭すぎると頸部の狭窄につながり、広すぎると排泄物の付着によるスキントラブルにつながる。マーキングが終わったら、マーキングに沿ってフィルムをカットする

 

 

ストーマケアの手順 フィルムをひっくりかえして面板に当てカットした部分を面板にマーキングする

フィルムをひっくりかえして面板に当て、カットした部分を面板にマーキングする。マーキングした部分でカット。カットした切り口は指で馴らしておくと、ストーマ粘膜を傷つけるリスクが減る

 

 

ストーマケアの手順 面板の剥離紙を剥がし今度は肛門側から口側に向かって貼付する

面板の剥離紙を剥がし、今度は肛門側から口側に向かって貼付する。カットした部分は頸部に合わせるようにゆっくりと貼付する。皮膚保護剤は体温でなじむため、貼付が終わったらしばらく手で温め、腹壁に面板がなじむまで待つ

 

 

看護師顔画像

やさしい力加減で愛護的なケアを意識してね!

 

看護師顔画像

ケアは患者さんや家族でもできるよう、しっかりと指導を行ってね。

 

基本はやさしく、ていねいに!

 

 
看護師顔画像

長時間皮膚に付着するものだから、一度トラブルが起こると対応が大変。

 

時には装具の変更を検討しなければならなくなることもあるから、まずはトラブルを起こさないことを目指してね!

 

 

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ストーマの観察項目

ストーマケアをするうえで、重要な観察ポイントは以下の4点です。毎日の観察をしっかり行いましょう!

 

❶色、つや、形

安定したストーマはつやつやとした薄いピンク色です。

 

黒ずんでいたり灰色だったりする場合、腐敗臭がする場合には、ストーマ壊死を疑います。ストーマが壊死して落ちた…なんてことになったら、最悪再手術になる可能性もあります。

 

なお、術直後は赤黒く腫れることがありますが、腸管浮腫による場合も多く、心配ないことが多いです。

 

❷スキントラブル

ストーマ造設後に最も多いトラブルで、発赤、湿疹、びらんなどがみられます。

 

面板のカットが大きすぎることによる排泄物の付着など、原因はさまざまです。排泄物だけでなく、汗やストーマ装具そのものによってもスキントラブルが起こります。

 

スキントラブルを見つけたら、生活スタイルや装具のつけ心地など、患者さんに情報収集を行い、原因を究明しましょう!

 

❸便の性状

患者さん自身が一番把握しやすい項目です。便の性状が突然変わると装具が合わなくなって、漏れることもあり、注意が必要です。

 

食事内容で大きく変わるので、患者さんに食事内容や生活スタイルについて情報収集を行い、うまく排便コントロールができるように食事指導などを行います。

 

❹漏れ

スキントラブルの原因にもなりますが、患者さんの生活に大きな影響をもたらすのが一番の問題です。いつ漏れるか不安で外出を控えてしまう患者さんもいます。

 

原因のほとんどは装具が合っていないことですが、便の性状が突然変化したことによる可能性もあります。

 

Point

便の性状が緩すぎるときには?

便の性状が緩すぎて管理に困っているときには薬を使ってコントロールすることがあります。

 

なので、困ったときにはこれらの薬が処方可能か医師に問い合わせをしてみましょう。

 

医師顔画像

薬は、アドソルビン®やタンナルビン、コロネル®などを使うよ!

 

 

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【著者プロフィール】

ぷろぺら@puropera44

看護師。これまでに慢性期病棟、クリニック、消化器外科、HCU、救急病棟、泌尿器科、腎臓内科などを経験。
看護roo!では『マンガ・ぴんとこなーす』を連載中。

 

 

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本連載は株式会社南山堂の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『ナスさんが教える! ぴんとくる消化器外科看護』 著者・ぷろぺら/医学監修・平野龍亮/2020年3月刊行/ 南山堂

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