ストーマの基礎知識
『ナスさんが教える! ぴんとくる消化器外科看護』より転載。
今回はストーマの基礎知識について解説します。
著者/ぷろぺら(看護師)
医学監修/平野龍亮
相澤病院外科センター乳腺・甲状腺外科
日本外科学会専門医・日本乳癌学会乳腺認定医・臨床研修指導医
ストーマとは?
ストーマは「人工肛門」とも呼ばれ、腹壁に腸管を露出しそこから排便ができるようにするものです。
便ではなく、尿が出るようにしたウロストミーには、回腸導管や尿管皮膚瘻などもあります。
ストーマには、肛門と違って括約筋がないので、消化・吸収が終わった食物が流れてくると腸管から便として自然に排出されます。
そのため、パウチと呼ばれるストーマ装具を装着します。
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ストーマの種類
ストーマの種類には、いくつかの分類のしかたがあります。
❶どこにつくる?
腸管に造設するストーマは、大きくコロストミーとイレオストミーに分けられます(図1、ウロストミーに関しては今回はお休み)。ごくまれにセコストミー(盲腸単孔式)もあります。
コロ=大腸=colon
イレオ=回腸=ileum
この2つで何が違うか想像できる?
回腸(小腸)では食物の栄養を吸収して、大腸では水分調整をして便をつくるので……ストーマから出てくる便の性状が違います!
正解!
さらに、コロストミーでも上行結腸、横行結腸、下行結腸で便の性状が変わるよ。回腸に近いほど便は軟らかく、直腸に近いほど硬い便が出てくるね!
❷いつまで使う?
術式によっては、後にストーマを閉鎖し腸管をつなげる手術を行う一時的ストーマと、閉鎖しない永久ストーマに分けられます。
❸穴はいくつ?
腸管の出口が1つの単孔式ストーマ(図2)と、2つの双孔式ストーマ(図3)に分けられます。
双孔式ストーマは、さらに、ループ式や二連銃式、完全分離式があります。これらは腸管の切除部位によって選択されます(小腸癌・大腸癌のページ参照)。
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ストーマ装具のしくみ
ストーマ装具は主にお腹に貼りつける面板と、便を溜めるストーマ袋からできています(図4)。
面板は基本的に全面皮膚保護剤でできているので、皮膚への負担も少ないです!
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【著者プロフィール】
ぷろぺら(@puropera44)
看護師。これまでに慢性期病棟、クリニック、消化器外科、HCU、救急病棟、泌尿器科、腎臓内科などを経験。
看護roo!では『マンガ・ぴんとこなーす』を連載中。
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本連載は株式会社南山堂の提供により掲載しています。
[出典] 『ナスさんが教える! ぴんとくる消化器外科看護』 著者・ぷろぺら/医学監修・平野龍亮/2020年3月刊行/ 南山堂