細菌性肺炎

『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は細菌性肺炎について解説します。

 

 

平澤真実
さいたま赤十字病院ICU看護主任
慢性呼吸器疾患看護認定看護師

 

 

細菌性肺炎とは?

細菌性肺炎は、細菌感染による呼吸器疾患で、膿性痰を含んだ湿性咳嗽が特徴的です。

 

原因菌としては肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、黄色ブドウ球菌などが代表的です(表1)。

 

表1 細菌性肺炎の主なリスク因子と感染経路

細菌性肺炎の主なリスク因子と感染経路

 

 

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患者さんはどんな状態?

咳嗽、膿性痰、胸痛や呼吸困難などの呼吸器症状のほか、高熱や悪寒、倦怠感などの症状もあります。

 

 

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どんな検査をして診断する?

X線やCTで浸潤影を認めます(図1)。血液検査や喀痰検査で診断を行います(表2)。

 

図1 細菌性肺炎のX線、CT

細菌性肺炎のX線、CT

★1 気管支透亮像

 

表2 細菌性肺炎の検査

細菌性肺炎の検査

 

 

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どんな治療を行う?

肺炎治療の第一歩として、原因菌を同定することが重要です(表3)。しかし培養の結果が出るまでには数日要することがあるため、予想される原因菌に対しての治療を始めます。これをエンピリック治療といいます。その後、原因菌が同定されたらそれに応じた抗菌薬へと変更していきます。

 

表3 肺炎の原因菌と抗菌薬の選択

肺炎の原因菌と抗菌薬の選択

 

対症療法として、解熱薬や鎮咳薬、去痰薬の投与や酸素療法などを、患者さんの症状に合わせて行います。

 

肺炎の症状が重症化すると呼吸不全が進行するため、人工呼吸器の導入も検討されます。

 

 

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看護師は何に注意する?

排痰の援助

肺の炎症により膿性痰が多く喀出されるため、体位を整えて自己喀出を促します。

 

咳嗽が弱く、自己喀出ができない患者さんには吸引を適切に行い、気道クリアランスを図ることが大切です。

 

全身の観察

呼吸器症状のみならず、全身状態の観察をしっかりと行いましょう。

 

視診触診

痰の量と性状、呼吸数、呼吸様式、胸郭の動き・左右差、呼吸補助筋の使用の有無を観察します。

 

皮膚の湿潤・冷感・冷汗・悪寒の有無を観察します。

 

バイタルサイン

脈拍、血圧、SpO2、熱型を確認します。

 

聴診

気道狭窄音の有無を確認します。

 

血液検査

WBC、CRP、電解質バランス、腎機能、肝機能を確認します。

 

 

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細菌性肺炎の看護の経過

細菌性肺炎の看護の経過は以下のとおりです(表4-1表4-2表4-3表4)。

 

表4-1 細菌性肺炎の看護の経過(発症から入院・診断)

細菌性肺炎の看護の経過(発症から入院・診断)

 

表4-2 細菌性肺炎の看護の経過(入院直後・急性期)

細菌性肺炎の看護の経過(入院直後・急性期)

 

表4-3 細菌性肺炎の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)

細菌性肺炎の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)

 

表4 細菌性肺炎の看護の経過

※横にスクロールしてご覧ください。

細菌性肺炎の看護の経過

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社

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