心臓のポンプ機能
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は心臓のポンプ機能について解説します。
中嶋ひとみ
新東京病院看護部
〈目次〉
心拍出量規定因子
心拍出量とは1分間に拍出する血液量で、心臓のポンプ機能の指標になります。下記のように表わされます。
心拍出量(L/分)=1回拍出量×心拍数
心拍出量の規定因子は、前負荷、後負荷、心収縮力です(図1)。
前負荷・後負荷に変化が起こったときの対応
何かしらの要因で前負荷・後負荷に変化が生じたとき、代償機転がはたらきます(表1)。
Frank-Starlingの法則:容量の変化による循環の変化
心臓は、心室内に血液量(前負荷)が増大すると心室(心筋)が引き伸ばされ、その反動で心収縮力が強くなります。これをFrank-Starling(フランクスターリング)の法則といいます(図2)。
心室の収縮性が増加すると、同じ前負荷でも1回拍出量は増加します。
静脈還流:呼吸による循環の変化
静脈還流とは、全身から心臓に返ってくる血液の流れのことをいいます。
静脈還流には、心臓の拡張による吸引、胸腔内圧の変化、下肢骨格筋のポンプ作用、静脈弁による逆流抑制が関与しています。
静脈還流は吸気時に増加します(図3)。
図3吸気時に静脈還流が増加するしくみ
文献
- 1)医療情報科学研究所編:病気がみえる vol.2 循環器 第4版.メディックメディア,東京,2017:2-29.
- 2)稲田英一,医療情報科学研究所:イメカラ 循環器 ̶イメージするカラダのしくみ.メディックメディア,東京,2010:2-19.
- 3)堀正二監修,坂田泰史編:図解 循環器用語ハンドブック 第3版.メディカルレビュー社,東京,2015.
- 4)小澤瀞司,福田康一郎監修,本間研一,大森治紀,大橋俊夫 他 編:標準生理学 第8版.医学書院,東京,2014:632-654.
- 5)坂井建雄,河原克雅編:カラー図解 人体の正常構造と機能 【全10巻縮刷版】 第3版.日本医事新報社,東京,2017:82-107.
- 6)増田敦子編著:身体のしくみとはたらき̶楽しく学ぶ解剖生理.サイオ出版,東京,2015.
- 7)大谷修,堀尾嘉幸:カラー図解 人体の正常構造と機能 第2巻 循環器 第3版.日本医事新報社,東京,2017:82-107.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 循環器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社