新生児に免疫機能はあるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は新生児の免疫機能について解説します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
新生児に免疫機能はあるの?
母親の胎内にいる間、胎児は母体の血液から胎盤を介して酸素や栄養素をもらって成長し続けます。このとき、母親がもっている免疫グロブリン(IgG)も同時にもらっています。
さらに、生後に母乳を飲むことで、母親の抗体(分泌型IgA)が新生児に受け渡されます。母乳中にはプラズマ細胞によって産生される分泌型IgAが含まれており、新生児の咽喉や胃腸管(消化管)の粘膜に分布することで、細菌やウイルスから身を守る仕組みになっています。
こうした免疫は、生後6か月間は有効です。胎内から出てきたばかりの新生児を、細菌やウイルスから守ることが、これらの免疫の役目なのです。その後、成長過程で細菌やウイルスに何度も感染しながら、自身の力で徐々に免疫機能を高めていき、10歳前後になると成人と同程度の免疫機能となります。
※編集部注※
当記事は、2019年8月13日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版