インフルエンザと免疫 

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回はインフルエンザと免疫について解説します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

インフルエンザと免疫

インフルエンザはインフルエンザウイルスによって感染する疾患です。通常、あるウイルスに感染すると、体内にはそのウイルスに対する抗体ができ、同じウイルスでは発症しない仕組みになっています。

 

しかし、インフルエンザだけは一生のうちに何度もかかることがあります。これはなぜなのでしょう。

 

その理由は、インフルエンザウイルスが絶えず小さな抗原の変化を繰り返しているからです。

 

インフルエンザウイルスの表面は、Hスパイク(ヘマグルチニン)とNスパイク(ノイラミニターゼ)という2種類の突起でおおわれています。

 

Hスパイクは生体の細胞の中に入り込むときに、Nスパイクは細胞の中で増えたウイルスを細胞の外に出すときに働きます。この2つのスパイクが、絶えず小さな抗原の変異を起こしているのです。

 

その変異がごくわずかであったとしても、免疫システムは以前に罹患(りかん)したウイルスだと認識することができません。そのため、免疫システムをするりと抜けて細胞内に入り込み、体内で増殖してしまうのです。

 

※編集部注※

当記事は、2019年7月30日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版

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