通常、橈側皮静脈や尺側皮静脈に穿刺するのはなぜ?|点滴静脈内注射

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は点滴静脈内注射の穿刺に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

通常、橈側皮静脈や尺側皮静脈に穿刺するのはなぜ?

橈側皮静脈(とうそくひじょうみゃく)や尺側皮静脈(しゃくそくひじょうみゃく)に穿刺するのは、皮膚表面に出ていて、穿刺しやすく、体動によって漏れにくく、固定が容易に行え、動脈や神経が近くを走行していない―という穿刺の条件を備えているからです(図1)。

 

肘(ひじ)内側のように、少し動いただけで状態が変化するような血管には、原則的に穿刺を行いません。

 

図1静脈

静脈

 

どうしても屈曲部位にしか静脈路を確保できない場合は、シーネで固定し、屈曲できないようにする必要があります。いずれにしても、利き腕に穿刺をすると、日常生活に支障が生じますので、第一選択は利き腕ではないほうの部位です。

 

下肢の静脈への穿刺は、歩行の制限につながるうえに、血栓性静脈炎を生じやすくなりますので、できるだけ上肢に行います。外頚静脈は、ショック時など末梢静脈が虚脱した時に静脈路確保のために使われます。

 

※編集部注※

当記事は、2020年10月9日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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