薬剤の皮下漏れによって組織障害が起きるのはなぜ?|注射
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は薬剤の皮下漏れに関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
薬剤の皮下漏れによって組織障害が起きるのはなぜ?
静脈内注射では、薬剤が皮下に漏れると組織障害が起きる危険性があります。静脈内注射は薬剤を静脈の中に注入することで効果を得ることが目的なので、基本的に薬剤と皮膚の接触による組織障害は考慮されていません。それゆえ、薬剤が皮下に漏れて皮膚と接触すると、組織障害が起きることがあります。
特に、抗癌薬や体液とpHが異なる薬剤が皮下に漏れると皮膚障害が起きやすいとされています。非炎症性の抗癌薬は多少の漏れでは炎症や壊死を生じませんが、炎症性(刺激性)あるいは壊死性(発疱性)の抗癌薬は、特に注意が必要です。
炎症性の抗癌薬が漏れると局所の炎症を生じますが、潰瘍(かいよう)の形成には至りません。壊死性の抗癌薬が漏れると、たとえ少量であっても水疱(すいほう)性皮膚壊死を生じさせ、難治性(なんちせい)潰瘍をひき起こしやすくなります。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版