滅菌手袋をはめる前にも手洗いを行うのはなぜ?|無菌操作

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は滅菌手袋をはめる際のQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

滅菌手袋をはめる前にも手洗いを行うのはなぜ?

滅菌手袋はその名の通り滅菌ずみの手袋ですが、汚れた手ではめると、微生物が通過してしまう可能性がゼロではないからです。そのため、滅菌手袋をはめる前にも、必ず手洗いを行います。

 

図1滅菌手袋のはめ方

 

JIS(日本工業規格)の検査基準をクリアした滅菌手袋でも、1.5%未満の確率でピンホールが存在する可能性があるとされています。手洗いをしていないと、微生物がピンホールを通過して周囲を汚染する危険性が生じてきます。また、手袋の中は密閉に近い状態になりますので、汗をかきやすくなり、それによって微生物が増殖することもありえます。

 

滅菌手袋を用いる場合は必ず手を洗い、有効期限や滅菌ずみの印、包装の破損の有無などをチェックし、自分の手のサイズに合ったものを用意することが大切です。

 

なお、手袋についているパウダーは、製造過程で使用される蛋白・化学物質・エンドトキシンなどを体内に運ぶ媒体になります。手袋をパチンと音を立てて勢いよくはめると、パウダーを浮遊させて呼吸器合併症や過敏症、刺激性皮膚炎、創傷の治癒力低下、感染リスクの増大などをひき起こしかねません。パウダーを浮遊させないように静かに装着しましょう。

 

手袋を外す時は、素手で表面の汚染された部分に触れないようにしながら、手袋を裏返すように引っ張ります。

 

memo手袋のサイズ

手袋には、6、6.5、7、7.5というようにサイズ表示がされています。単位はインチで、手の甲の周りの大きさを表します。6.5のサイズは甲周り約16.5cmです。自分の手の大きさに合ったものを選びます。

 

滅菌物の取り扱い方

最近では滅菌覆(おお)い布を使わない医療機関も多くなってきていますが、感染予防の基本ですから、扱い方を知っておく必要があります。押さえるべきポイントは次の点です。

 

  1. 乾いたワゴンの上に、輪を手前にして包みを置く。
  2. 有効期限を確かめてテープをはがす。
  3. 布の最も外側の一端を手前に開き、布の中のトレイの各辺がワゴンの辺と並行になるように移動する(処置台の上の清潔野を広く使えるようにするため)。
  4. 布の内側に手を触れないようにしながら、順に開く。

滅菌パックから中のものを取り出す場合は、有効期限を確かめてパックの口を開き、口の両端を折り返して物品の先端を出し、直接手を触れずに、鑷子や鉗子で取り出します。注射器を取り出す場合は、外筒の部分であれば手で持つことができます。

 

図2滅菌物の取り扱い方

 


[参考文献]

 

  • 深井喜代子編集:新体系看護学第18巻 基礎看護学③ 基礎看護技術、p166、メヂカルフレンド社、2002

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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