在宅人工呼吸器って、どんなもの?
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『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「在宅人工呼吸器」に関するQ&Aです。
原口道子
東京都医学総合研究所難病ケア看護プロジェクト主任研究員
在宅人工呼吸器って、どんなもの?
病院用に比べて、高度な機能よりも構造がシンプルで取り扱いやすいものが求められています。
〈目次〉
在宅人工呼吸器の条件
在宅人工呼吸器の条件としては、在宅生活での取り扱いやすさや耐久性、移動・災害時の備えに耐えうるものが求められる(表1)5。
1 | 駆動源として圧縮空気や圧縮酸素を必要としない |
2 | 構造がシンプルで故障がない |
3 | 作動音が静かである |
4 | 持ち運び可能で耐久性がある |
5 | 操作法が簡単でわかりやすい |
6 | バッテリー内蔵。外部バッテリーでも作動可能 |
一般用(病院用)人工呼吸器と在宅人工呼吸器の特徴的な違いは、回路構成と電源確保である。
在宅人工呼吸器の特徴(図1)
在宅人工呼吸器の場合、吸気は大気をフィルターを介して取り込み、呼気は一本回路の呼気弁を介して大気中に開放される。
電源としては、AC電源・内部バッテリー・外部バッテリーがある。すべての機器がこの3電源を備えているわけではないため、事前に使用する機種の電源確保の方法を確認する必要がある。使用時は、現在どの電源によって作動しているのかを確実に確認する。
在宅では通常、コンセントから取り出す交流電源であるAC電源を用いる。家庭用コンセントは2つ穴であることが多いが、医療機器は3Pプラグ*であることが多い。2P-3P変換プラグは有用ではあるものの3Pプラグの機能が担保できないことやコンセントからの脱落の危険性もあるため注意が必要である6。
電力供給に際しては、家電製品等とは別系統での電源を確保することが望ましい。
停電時や災害時に備えた電源確保として、バッテリーの確保は必須でありバッテリー残量等の日常点検も重要である。
- 3Pプラグ:アースと誤作動防止のノイズ対策の役目をはたす。
[文献]
- (1)8020推進財団;平成20年3月㈶8020推進財団指定研究,「入院患者に対する包括的口腔管理システムの構築に関する研究」研究班,主任研究者:寺岡加代.:入院患者に対するオーラルマネジメント.8020推進財団,東京,2008.
- (2)川村佐和子監修,中山優季編:ナーシングアプローチ難病看護基礎と実践.桐書房,東京,2014.
- (3)石川悠加 編:NPPVのすべて これからの人工呼吸.医学書院,東京,2008.
- (4)中山優季:在宅人工呼吸ケア.道又元裕編,人工呼吸ケア「なぜ・何」大百科,照林社,東京,2008:457.
- (5)中山優季:在宅人工呼吸療法の実際.道又元裕,小谷透,神津玲編,人工呼吸管理実践ガイド,照林社,東京,2009:292-302
- (6)川口有美子,小長谷百絵編著:在宅人工呼吸器ポケットマニュアル.医歯薬出版,東京,2009.
- (7)特定疾患患者の生活の質(QOL)の向上に関する研究班「工呼吸器装着者の訪問看護研究」分科会編:人工呼吸器を装着しているALS療養者の訪問看護ガイドライン.2000.
- (8)東京都福祉保健局:難病患者在宅人工呼吸器導入時における退院調整・地域連携ノート.http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/joho/soshiki/hoken/shippei/oshirase/taiintyousei_tiikirenkeinoto.files/tiintyouseirenkeino-to250711.pdf(2014年11月18日閲覧).
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社