Q&Aでわかる 「医行為」と「非医行為」の違いは?

看護師さんにとって、医療事故や医療訴訟は決して他人事ではありません。
第1話と第2話では、「患者さんが誤嚥によって窒息死してしまった事例」を元に医療事故の対応方法や、看護師が知っておくべき医療に関する法律について、解説してきました。
ここでは、看護師の皆さんが、法律について疑問に思うことをQ & A(Question & Answer)形式で解説します。
第3話は、「そもそも医行為と非医行為の違いは何か」についての「Q & A」です。

 

 

大磯義一郎森 亘平谷口かおり
(浜松医科大学医学部「医療法学」教室)

 

看護師さんの業務の基本は、「療養上の世話」と「診療の補助」だということを理解いただけたと思います。

 

はい。それ以外にも、緊急時や助産師さんの場合と、研修を受けた特定行為が、例外にあるんですよね。
そういえば、具体的には、医行為と非医行為って、何か基準があるんですか?

 

良い質問ですね。
それでは、ここで、医行為と非医行為の違いを具体的に解説します。

 

医行為と非医行為の違いはどこにある?

そもそも医行為ってどのような行為のことを指すのですか?
医行為と非医行為の違いが、よくわかりません。

 

医行為は、基本的に侵襲性のある行為のことを指します。
非医行為は、侵襲性のない行為のことを指します。

 

侵襲性のある行為=医行為

第2話『看護師の業務は療養上の世話と診療の補助! 緊急時には例外も』で、医行為の定義を紹介しました。医行為は、侵襲性のある行為と言えます。

 

しかし、侵襲性のある行為を全て医行為とすると、実際の医療現場では、さまざまな業務において医師の指示が必要になってしまいます。

 

そのため、緊急時や日常業務で慣習的に行われている医行為については、例外として、非医行為にあたります。

 

例えば、を切ることや、簡単な切り傷や火傷を処置することも医行為に含まれてしまいます。これらは病院内だけでなく、一般家庭でも行われている行為です。これらを医師でなければ行えないとするのは、現実に即していません。

 

一般人でも行えるように例外的に定義された非医行為

そこで、厚生労働省は、通知の形で「非医行為」を定義しています。これらは医行為にあたらないため、看護師だけでなく、一般人でも行うことができます。

 

具体的な非医行為として、以下のような行為などが挙げられます。

 

体温計で腋下や外耳道の体温を測定すること

 

自動血圧器で血圧を測定すること

 

入院の必要の無い患者さんにパルオキシメータを装着すること

 

軽微な切り傷、擦り傷、火傷などについて専門的な技術を必要としない処置をすること

 

湿布の貼付、点眼薬の点眼、座薬の挿入

 

Point!

  • 医行為は侵襲性のある行為で、非医行為は侵襲性のない行為です。
  • 例外として、緊急時や日常業務で慣習的に行われている医行為は、非医行為にあたります。

 

⇒『ナース×医療訴訟』の【総目次】を見る

 


[執筆者]
大磯義一郎
浜松医科大学医学部「医療法学」教室 教授
森 亘平
浜松医科大学医学部「医療法学」教室 研究員
谷口かおり
浜松医科大学医学部「医療法学」教室 研究員

 


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