鎮痛管理のポイントは?|人工呼吸ケア
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「人工呼吸中の鎮痛管理」に関するQ&Aです。
古賀雄二
川崎医療福祉大学保健看護学科准教授
鎮痛管理のポイントは?
「患者は常に痛みを感じている」という前提に立ち、先制鎮痛を行うことが重要です。
〈目次〉
鎮痛管理のポイント
PADガイドラインでは、痛みを“ルーチン評価”することを推奨している。これは、定期的(盲目的)に評価するだけでなく、「患者は安静時を含めて常に痛み(不快感)を感じている」という前提に立って評価することを指している。
とりわけ、self-reportを引き出す患者と医療者のコミュニケーションが重要である。患者-医療者間のコミュニケーションだけでなく、医療チーム内のコミュニケーションから見つめなおす必要がある場合もある(interdisciplinary team approach/インターディシプリナリーチームアプローチ:学際的チームアプローチ)。
薬理学的ケア
処置に伴う痛み(procedure-related pain:プロセデュアリレーティッドペイン)については、積極的に鎮痛を図る。
鎮痛重視型鎮静(analgesia-first sedation)が推奨されており、鎮痛を重視した管理を行うことで過剰鎮静の予防にもつながる(『PADガイドラインってなに?』)。
意識状態を総合的に評価し、self-reportが可能であればiv-PCA(経静脈的自己調節鎮痛法)*も検討する。
非薬理学的ケア
薬理学的介入のまえに、実施可能な非薬理学的ケアが行われたかを確認する。
PADガイドラインでは、非薬理学的ケアとして、ケアの効率化を含めた睡眠環境の調整や早期離床を挙げている。
痛み・不穏・せん妄は、自律神経の不均衡を共通のキーワードとしており、これらのケアを総じて「自律神経ケア」と表現可能であり(図1)、非薬理学的ケアはcomfort(コンフォート)ケアとして表現可能である。
患者の感じる多彩な痛みのとらえ方としてトータルペイン(身体的・精神的・霊的・社会的痛み)の考え方、comfort・discomfort(ディスコンフォート:快・不快)の考え方、医原性リスクの考え方、家族からの情報などを参考に患者の個別的な痛みを見いだすことが重要である。
- iv-PCA(intravenous patient-controlled analgesia):経静脈的自己調節鎮痛法
[文献]
- (1)Barr J, Fraser GL, Puntillo K, et al. Clinical practice guidelines for the management of pain, agitation, and delirium in adult patients in the intensive care unit. Crit Care Med 2013; 41: 263-306.
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本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社