声が漏れるのはなぜ?どう対処すればいいの?|人工呼吸ケア
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「声漏れ」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
声が漏れるのはなぜ?どう対処すればいいの?
チューブの位置異常や、カフの異常、生理的な要因が考えられます。声の漏れに気づいたら、まずは、呼吸状態・チューブが正しく挿入されているかを確認し、原因に応じて対応します。
〈目次〉
「声が漏れる」原因
気管チューブの抜去(または浅くなっている)が生じている可能性がある。
チューブの位置が適正ならば、カフの損傷や、何らかの原因によってカフの空気が少なくなった可能性が考えられる。
気管の形状は人によってばらつきがあるため、体位や頸部の向きによって気管のシールが不十分になり、気管壁とチューブの間に隙間が生じて、声が漏れることもある。
声漏れ発生時の対応
患者の呼吸状態、換気量、気道内圧、SpO2の低下などを確認する。
口角の位置、口腔でのチューブのたわみの有無、X線画像で適切な位置かを確認する。浅くなっているだけならカフの空気を抜き押し込めば適正な位置へ調整できるが、完全に抜去されていたら再挿管が必要になる。
チューブの位置が適正ならば、カフ圧調整を実施する。カフ圧が上昇しない、人工呼吸器の換気量が維持できない場合はカフ損傷が疑われ、気管チューブの交換が必要となる。
体位や頸部の向きを変えると声漏れが改善するときは、気管径の違いが原因と考えられる。声が漏れなくなる位置へ調整する。
カフ圧を上昇させると声が漏れなくなることがあるが、チューブ入れ替えまでの一時的以外に、持続的にカフ圧の高値を維持してはいけない(『気管チューブの適切なカフ圧は、いくつ?』)。
略語
- SpO2(saturation of percutaneous oxygen):経皮的酸素飽和度
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社