チューブトラブルを予防するためには?|人工呼吸ケア
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「チューブトラブル」に関するQ&Aです。
塚原大輔
日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程特定行為研修担当教員
チューブトラブルを予防するためには?
チューブ管理を行ううえでの患者側の要因と、療養環境を理解して予防を行う必要があります。
〈目次〉
患者側の要因
チューブ管理を行ううえで、患者側の要因として医療従事者が認識しておくべき原則は、以下の3つである。
1患者が動けばチューブトラブルの危険性が高まる
「患者が動く」ということには、患者自身による体動だけではなく、体位変換や移乗などの看護師による受動的な体動も含まれる。
2体内に留置したチューブは抜ける、接続部は外れる危険性がある
患者に適した固定方法の工夫やマニュアルの作成を行う必要がある。
3チューブ留置は不快であり、患者は本能的に取り除こうとする
チューブ留置は、挿入局所の苦痛に加えて、つながれていることによる拘束感が不快をもたらす。
不快の程度は、チューブの種類や患者の病態、チューブ留置の期間によって異なる。
チューブ留置の不快が強ければ強いほど、治療上の必要性が判断できない患者、かつ不快に耐えうる体力や精神力がない患者は、チューブを取り除こうとする。
チューブトラブルは、すべてが事故につながるわけではない。しかし、患者の生命維持や治療に果たすチューブの役割の重要性と、トラブルの発見がどれほど遅れたかで、事故につながるか否かが決まる。
療養環境
患者を取り巻く療養環境においてもさまざまなリスクが存在する。
医療現場では、多重業務が半ば当たり前になっており、個人の能力では限界がある。医療従事者同士の「気づき」や「支え」によって事故発生を最小限に抑えているのが現状である。
医療現場は、主にコミュニケーションによって成り立っているため、職場風土や疲労や体調不良などの健康状態によってもエラーが起こりやすくなる。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社