気管チューブのカフ圧の調整方法は?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。

 

今回は「気管チューブのカフ圧の調整方法」に関するQ&Aです。

 

露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)

 

気管チューブのカフ圧の調整方法は?

 

カフ圧計の内圧を上げてから接続するのがポイントです。そうすることで、圧較差が是正され、カフ圧調整手技によるカフ圧低下を少なくできます。

 

〈目次〉

 

カフ圧調整の手順(図1

図1カフ圧調整の手順

 

1使用物品の用意

カフ圧計、三方活栓、延長チューブ(短く容量の少ないもの)、シリンジ(5~10mL)を用意する。

 

2カフ圧計の準備(図1

カフ圧計に三方活栓と延長チューブを接続し、シリンジに空気を入れ、三方活栓の側管に接続する。

 

カフ圧計の目盛りが0cmHOであることを確認する(0点の確認)。

 

各接続部のゆるみを確認する(調整時に接続が外れると、カフ内の空気が漏れるため)。

 

3カフ圧測定

三方活栓の患者側はoffにしたまま、気管チューブのパイロットバルブとカフ圧計を接続し、カフ圧計の目盛りを見ながらシリンジで空気を注入し、カフ圧計の内圧を30cmHO程度にする(図1)。

 

三方活栓を全方向に開き、30cmHO程度になるまで、カフ圧計の目盛りを見ながら、シリンジで空気を入れる(図1)。

 

わずか1mLの空気の増減でも圧は大きく変化するため、必ずカフ圧計を見ながら調整する。

 

4カフ圧測定

調整を終えたら、再び三方活栓の患者側をoffにし、パイロットバルブを外す。

 

カフ圧調整時の注意点

1ゴム球を使用する場合

カフ圧計を直接パイロットバルブに接続し、カフ圧計のゴム球を握って加圧して空気を注入した後、排気用のボタンを押してカフ圧を調整する。微調整が難しい。

 

メーカーは付属の延長チューブ使用を推奨しているが、三方活栓がないため、カフ圧計の内圧を上げてからパイロットバルブに接続することができないことに注意する。

 

現在、圧調整がダイヤル式で微調整ができ、付属の延長チューブにクランプがついているためカフ圧計の内圧を上げてから接続できるカフ圧チェッカーが販売されている(図2)。

 

図2カフ圧チェッカー

 

2パイロットバルブと三方活栓

パイロットバルブに、三方活栓を直接接続してはいけない(パイロットバルブが破損するとの事故報告があるため)。

 

パイロットバルブに、三方活栓を装着したままにしてはいけない(破損だけでなく、そこから脱気してカフ圧が低下するため)。

 


[文献]

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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