気管チューブのカフ圧調整のタイミングは?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「気管チューブのカフ圧調整のタイミング」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
カフ圧調整のタイミングは?
カフ圧の調整は、8時間以内に行います。オーラルケアなど、垂れ込みが起こりやすいケアの前などにも行ってください。
〈目次〉
カフの自然脱気時間を考慮
新品の気管チューブの場合、カフ圧が自然脱気によって5cmH2O低下するまでには、約8時間かかる3。
カフ圧は、カフ圧計を外す手技によって2~3cmH2O低下する(『気管チューブの適切なカフ圧は、いくつ?』)。そのため、カフ圧調整時に30cmH2O程度にしておけば、8時間以内であれば20cmH2O以上に維持できる。
垂れ込みが起こりやすいケア実施前
カフの自然脱気時間は、チューブの劣化状況や患者の状態によって異なる。そのため、常時エアリークなどを観察し、頸部の聴診とともにカフ圧調整のタイミングを考える必要がある。
カフは、垂れ込みを完全に防止することができないため、オーラルケアなど垂れ込みが起こりやすいケアの前にはカフ圧調整を行って、垂れ込みを防止する。
[文献]
- (1)Seegobin RD, van Hasselt GL. Endotracheal cuff pressure and tracheal mucosal blood flow: endoscopic study of effects of four large volume cuffs. Br Med J 1984; 288: 965-968.
- (2)American Thoracic Society, Infectious Disease SocietyofAmerica. Guidelinesforthe management of adults with hospital-acquired, ventilator-associated and healthcare-associated pneumonia. Am J CritCare Med 2005; 171: 388-416.
- (3)露木菜緒:気管チューブのカフ圧は調整手技により低下する-実験研究による検討-.日本クリティカルケア看護学会誌2010;6:50-57.
- (4)中嶋美和子:カフ圧の測定を怠ってはいけない.道又元裕,木下佳子,杉澤栄他監修,やってはいけない人工呼吸器管理50,日本看護協会出版会,東京,2006:138-140.
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社