気管吸引のタイミングは、どうやって判断するの?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。

 

今回は「気管吸引のタイミング」に関するQ&Aです。

 

露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)

 

気管吸引のタイミングは、どうやって判断するの?

 

咳嗽、気管分岐部付近での副雑音の聴取、フローボリュームパターンの変化などで判断します。決してルーチンで吸引してはいけません。

 

気管吸引をルーチンには行わない

咳嗽を促したり、侵襲の少ない方法を実施したりしても分泌物の喀出が困難で、表1に示す状態となったときは、総合的に気管吸引のタイミングを判断する。

 

表1気管吸引のタイミング(以下から総合的に判断する)

気管吸引のタイミング

 

決して「2時間ごと」など、ルーチンで気管吸引を実施してはいけない。

 

SpO(経皮的酸素飽和度は、さまざまな原因で低下するため、SpOの低下は、それだけでは気管吸引のタイミングとはならない(表2)。

 

表2SpO低下の原因

 

SpO低下の原因
  • 血胸、気胸肺塞栓
  • 片肺挿管
  • 体位調整
  • センサーの汚れ
  • マニキュア
  • 呼吸抑制
  • 循環不全
  • SpOモニタ外れ
  • 気管チューブ破損
  • 直射日光          など

 

気管吸引は、分泌物による気道の狭窄や閉塞があると判断できたときのみ適応となる。

 

必要な気管吸引をするためのアルゴリズムを図1に示す。これに沿って必要性を判断し、適応ではないときは気管吸引以外の低侵襲な方法を考える。

 

図1気管吸引のアルゴリズム

 

道又元裕:気管吸引・排痰法.南江堂,東京,2012.より引用

 

略語

 

  • SpO2(assist/controlmandatoryventilation)(saturation of percutaneous oxygen):経皮的酸素飽和度

[文献]

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

SNSシェア

看護ケアトップへ