バッグバルブマスクとジャクソンリース回路の違いは?どう使い分けるの?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「バッグバルブマスクとジャクソンリース回路」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
「使用時に医療ガスが必要かどうか」が違います。バッグバルブマスクは医療ガスがなくても使用できますが、ジャクソンリース回路は医療ガスがないと使用できません。ガスの供給源・人工気道の有無などで使い分けます。
〈目次〉
バッグバルブマスク(表1-a)
バッグバルブマスクは、「自動的に膨張するバッグ」「リザーバーバッグ」「一方弁」からなる。
バッグバルブマスクは、自動的にバッグが膨張するため、酸素ガスなどがなくても使用できる。したがって、人工気道(気管チューブ、気管切開チューブ)の存在がなく、患者移送や検査中における緊急時には、バッグバルブマスクを選択する。
バッグバルブマスクにリザーバーバッグを装着すると、高濃度の酸素投与が可能となる。リザーバーバッグを使用しないとバッグ膨張時に大気が流入するため、高濃度の酸素は投与できない。
吸気時、呼気時でそれぞれ一方向にガスが流れ、一方弁の働きにより呼気ガス(二酸化炭素)が逆流しない。
人工気道留置中の患者に使用するときは、自発呼吸がわかりにくく、一方弁により呼吸と合わないと呼吸困難感が生じる。自発呼吸のある患者に使用するときは、呼吸に合わせて徒手的にバッグを押す必要がある。
ジャクソンリース回路(表1-b)
ジャクソンリース回路は、「Tピース」「蛇管」「バッグ」「ガス放出弁」からなる。
ガス供給源があり、人工気道が存在し、特に自発呼吸が認められる場合は、ジャクソンリースが適している。
回路内のガスの流れは双方向になり、供給ガス流量(酸素流量)が少ないと、二酸化炭素の再呼吸を行うことになる。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社